第73話 劉邦、射られるなり振りに構わず、とにかく弱みを見せたら負け
劉邦は煮えた釜の横に引きずり出された父親を目にして、項羽を挑発。結局、項羽は釜ゆでを諦める。その後、項羽は劉邦に文をよこし「一騎打ちで決着をつけよう」と提案する。だが劉邦は「力では戦わず智で戦う」と返事をする。2人は鴻溝を挟んで向かい合う。劉邦が遠矢で送った侮辱的な文を読んだ項羽は、遥か遠く離れた劉邦めがけて矢を放つ。その矢が見事命中した劉邦は、昏睡状態に陥ってしまい……。
とばかりに、強がる劉邦VS面子を気にしてカッコつける項羽・・・
そんな感じの戦い(?)のような雰囲気でした。
その上、雌雄を決している(はずの)戦いで、
隙間をすり抜けるように生きる彭越や田横のような人たちがいて、
そのしぶといところも面白いですね~♪
楚漢の戦が長くかかった理由が窺がわれます。
そして、お久しぶりの簫何さん・・・女の戦いも
ちゃんと見てるのが凄いなぁ・・・劉邦に何て言われたか
気になります。
以下ネタばれしてます、ご注意を・・・
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広武山。
深い谷を挟んで対峙する漢軍と楚軍。劉邦の父親を煮殺そうとする項羽は、劉邦が出て来るのを待ちます。しばらくして、馬で駆け付けた劉邦は父親の姿を認めると、項羽に向かい、俺たちは義兄弟、俺の父親はお前の父親、煮殺してその煮汁を俺にくれと叫び、すぐに戻って行ってしまいます。劉邦の父は良く言ったと満足げに笑います。この態度に、項軍では父親を殺すか諸将の意見が分かれ・・・。
項羽の前では強がった劉邦でしたが、幕舎に入るなり父を思って大泣き。周りの者もこれにはやるせない思いに・・・。
項羽は劉邦の父親に近づくと、劉邦は情がない男だが私は義には背けぬと縄を解き、詫びて解放します。
その夜、一人酒を呑む項羽の前に虞姫が現れ、英雄が劉邦の分かりに父親で恨みを晴らそうとしたことが理解できない、劉邦など大した男ではない、あなたなら勝てるはず、あの老人に罪はないのにと問いかけます。項羽は老人には罪はなくても、その息子に罪があると答えますが、複雑な思いでいっぱいの様子。
劉邦は項羽から「天下が騒然としているのは、我らの戦のせい。楚人の武を貴ぶ精神に基づき、一騎打ち雌雄を決する。我ら二人の恨みや憎しみで天下を乱してはならない。」と書かれた文を送られ、項羽が焦っていると察します。聞いていた盧綰は、思い上がっている項羽に目にもの見せましょうと戦うことを勧めますが、俺が勝てるはずがない、俺を殺す気か?と劉邦は不機嫌に。しかし、俺は怖くはない、奴は意気地がなく、親父も殺せなかった、安っぽい同情をする奴を相手にはできないと、その場を取り繕うと、張良に「武力ではなく、知恵で戦う」との返書を書かせて送ります。
劉邦からの返書で、挑発に乗ってこないと察した項羽は、虞子期に兵たちの士気を何とかして高めねばならないと進言され、思案・・・強風が漢軍方向に吹いていることを確かめると、劉邦に話しあいたいとの申し入れををさせます。
劉邦はその申し入れを受けると、張良に「お前は力持ちで凄いが、動けなくて困っているだろう、檻に入った虎は鼠に及ばず、地に釘で打ち付けられた蛇は藁縄に及ばない、俺は確かにごろつきだが、お前とは戦わない、追い詰め疲れさせ、待たせて焦らせてやる。そっちにはない食い物がこっちにはたっぷりある。俺は頭にきているんだ!」と文を書かせます。こんな文を書いたのは初めてだと張良も呆れながらも喜ぶ張良。劉邦も仕上がりに大満足。
そのころ、項羽は劉邦への文を送ったと知らせに来た虞子期に糧秣不足に陥っている兵たちの様子を尋ねます。糧秣の事は私に任せてほしいと答えた虞子期は、劉邦ごときに話すことがあるのかと尋ねます。何もないと項羽は答えると、何か言いたげな虞子期を下がらせます。
谷を挟んで、再び劉邦が現れるのを待つ項羽。焦れはじめた矢先、軍営の門が開き、劉邦が現れます。兄弟!俺に用か?と項羽に声をかけた劉邦は、俺と話がしたいなどバカなことを言うな、話などないし話したくもない、それで聞きたいのなら・・・と、張良に書かせた文をつけた矢を項羽に向かって射らせます。ちゃんと読めよ!返事はいらん、お前はできる奴だと思っていたが、今のお前はつまらん男だ!俺の手にかかるのでなく、その手紙で憤死だな、劉邦の口は止まることなく挑発を続けます。文を静かに読み、劉邦の挑発を黙って聞きながら弓矢に手をかける項羽・・・何とか言え!怒りで何もでないか、と笑う劉邦めがけて矢を放ちます。
矢は劉邦の胸に命中。項羽から見えないところに倒れ込んだ劉邦は慌てて駆け寄る張良たちに、騒ぐなと命じます。手ごたえを感じ、戦は口先だけではできないと呟く項羽。
劉邦は苦痛に耐えながら矢を折ると、何もなかったように立ち上がり、そんな腕前では俺を倒せない、踵(かかと)にあたっただけだと笑い、戻って弓の練習をしろ、話はそれからだ!と手を振って戻って行きます。仕損じたことで鴻門の会を俄かに思い出し、怒り心頭の項羽も、仕方なく戻ります。
劉邦は何もなかったように幕舎まで歩いて戻ると、兵たちに笑顔を向けます。漢王様!と奮起する兵たち。劉邦はそれを見届けると、静かに幕舎へ入り、そこで意識を失います。慌てる将たちの中、張良は簫何を連れて来るよう盧綰に頼みます。意識のない劉邦、看病する薄姫は静かに寄り添います。
櫟陽。
劉邦が怪我をしたとの情報を得た戚夫人。簫何が呼ばれたことから、事態を重くみた満おばさんは息子・如意を連れて劉邦のそばに行くことを勧めます。
簫可は王がこの事態を乗り切れないかもしれないと急いで出ようとすると、戚夫人が城門で待ち伏せ。急ぎの道中にも耐えるという夫人を断ることもできずに、同行を許可します。
虞県城外。
彭越は田横と共に、虞県(楚の補給路)を攻略中。そこに簫可が、兵も連れずに櫟陽を出たとの知らせ。すると、彭越は虞県陥落が目前にも関わらず梁へ撤退してしまいます。不満を隠せない田横に、彭越は関中を守る簫可が前線の広武山に向かった、項羽に受けた傷は深いのもしれぬ、そこで楚の攻撃を受ければ漢は大打撃を被る、そんな時に楚の奥深くにいれば逃げ場がなくなると撤退の理由を話します。そのずる賢さに感心する田横、納得して梁へ急ぎます。
関羽の軍営。
虞子期から、彭越の撤退で糧秣の調達ができたと報告を聞いた項羽、彭越の撤退が解せません。我々を死の淵に追い込む機会を捨て、動かぬ彭越が動いたのはきっと裏があるはず、漢軍に探りをいれるよう鐘離昧の進言を聞いた項羽ですが、すぐに動くことをためらいます。
劉邦の軍営。
劉邦の状態を見極めた簫何は、戚夫人にろくな治療もできないままここに居ても、櫟陽に連れて帰るにしてもも危険だが、どうしたいかをを尋ねます。自分では決められない夫人を見かねた薄姫は、道中は険しく王様の身は耐えられないはず、ここで矢を抜くべきだと提案、張良も指揮官が軍営を離れるのは兵が動揺するとして賛成します。そこへ劉邦が目覚めたとの知らせ。簫可を一人呼んだ劉邦は、太子の話を始めます。
皆が待つ部屋に戻った簫何でしたが、無言のまま・・・。張良と二人きりになると、女性たちの争いには手が出せないと愚痴をこぼします。張良は同情すると、このまま決めずにいましょうと提案。驚く簫可に、楚の動きがおかしい、彭越の撤退で糧秣を手にした項羽は急いで攻める必要がなくなり撤退を始じめたのでしょう、だが右軍は項羽に従わずにいると張良。奇襲か・・・張良の真意を察した簫何。張良は王のために時間を稼ぐには確固たる勝利が必要、そのために王の旗を貸してくれと頼みます。
張良の読み通り、奇襲をかけて来た楚軍。待ち伏せしていた張良は、楚軍率いる鐘離昧に、楚の命運は尽きた、将軍の才能は漢王に奉げるべきと投降するよう告げます。
項羽の軍営。
奇襲失敗で戻り捕縛された鐘離昧、軍令を無視して出撃したことは斬首だと罪を認めます。虞子期と季布が共に戦った仲間だと庇い、兵たちも戦の終結を望んでいると寛大な処分を請います。処分は当然だと鐘離昧は覚悟しますが、項羽はお前は不用だ、出て行けと告げます。そんな処分なら斬ってくれと鐘離昧が開き直ると、おまえも私に逆らうのか、私は死を恐れていない、出陣しないのはお前を死なせたくないからだ!これ以上兄弟の死に直面したくないと怒鳴りつける項羽。その言葉に鐘離昧は私の命は王様の物、蜂起した時から覚悟はできている、どうしても王様の為に劉邦を殺し、憂いを取り除きたかったと訴え・・・。
第72話


項羽と劉邦 King's War☆キャスト
項羽と劉邦 King's War☆INDEX
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