第72話 仮の斉王気がつけば、韓信は斉王に・・・
韓信から“仮の斉王”の座を求められた劉邦は、怒りのあまり使者を怒鳴りつける。だが横にいた張良に足を踏まれて我に返り、“本物の斉王”に封じると使者に伝える。項羽の臣下たちは韓信を攻めるべきだと項羽に訴えるが、彼は劉邦を倒すために韓信とは同盟を結ぶと答える。韓信と同郷の武渉が使者として遣わされるが……。一方、項羽と劉邦のにらみ合いが続く広武山では、士気の低下を恐れた虞子期がある提案をする。
蒯徹が三分の計(?)を語るところ、これが実現してたらって
なんだかおもしろく感じましたが、この後の蒯徹の身の振り方の巧さは
驚かされます。韓信が自分の策を蹴ったことで、気がふれたのかと
思いきや、こんな策を講じたことが罪に問われない様、
気がふれたように装ったのだとか。
韓信が後に謀反の罪で処刑される際、このことで蒯徹も囚われることに
なるのですが、巧く劉邦を言いくるめ、処刑を逃れたそう・・・
口は災いのもとですが、身を助けるものでもあるのですね(^^;)
一方、項羽はじわじわと首を絞められている感じ。
虞子期が案じて、汚れ役を買ってまで策を練りますが、
今で温厚だった虞子期の変わりように項軍がどれだけ
窮しているかが窺がわれます。
しかし、項羽って煮殺すの好きだなぁ・・・って思ってしまうくらい
釜茹での刑が出てきますが、当時としては一般的だったようです。
烹煮(ほうしゃ)というのが正式名称だとか。
亡くなるまでに時間がかかるはず・・・見せしめには
効果的だったのでは・・・
それにしても、呂雉の兄嫁、何気に一緒にいるけど、
いつの間に?(笑)
以下ネタばれしてます、ご注意を・・・
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斉・濰水西岸、韓信の軍営。
蒯徹の説得で、斉が安泰するなら王になってもよいと考えた韓信は、王への手紙には斉王の前に“仮”の字を付けるように命じて送らせます。
広武、劉邦の軍営。
韓信からの書を読み激怒する劉邦は使者に助けにも来なかったのに!と怒鳴り散らします。ところが、張良に足を踏まれ、冷静になった劉邦は、韓信の功績を讃えると、俺の命令を待つように伝えると共に仮ではなく、真の王に封じます。これで好いと、うなづき合う張良と陳平・・・。
使者への態度を誤魔化した劉邦は、腹を立てたのは本当だ、韓信は功績は確かに大きく褒美を与えたいが、これはやり過ぎではないか?俺の腹を探っているのだろうが、楚漢がにらみ合っている時に言ってきたのは、王にしなければ来ないつもりではないかと案じます。しかし、張良に、自分の気持ちを尋ねられると、与えて心から喜ばせてやる、忘れぬな、韓信を気にしている者がいると、別の憂いを露にします。
広武、項羽の軍営。
龍且の死が伝えられ、ため息をつく項羽。これは龍且の過ちだと鐘離昧が口にすると、死者を責めるつもりはない、手厚く葬り、家族の面倒を見ると項羽が遮ります。虞子期は韓信を討ちに行くよう命じてほしいと訴え、鐘離昧はここを守っているので討ちに行ってほしいと願います。ところが、項羽は韓信とは戦わず、盟を結ぶと二人を驚かせ、本当の敵は広武山にいる劉邦だ、勝つためであって何が悪いと言いくるめます。以前とは変わられたとの虞子期の言葉も、戦は人を化け物にするという范増の言葉を出し、今になって意味が分かったと項羽は受け入れる項羽に観念した鐘離昧は、韓信の説得役として、同郷(淮陰)の武渉(ぶしょう)を推薦。
臨淄、斉王宮。
楚からの使者として韓信の前に現れた武渉は、秦を打倒すると諸国から集まった諸侯は秦を倒した後、それぞれの地に封じられ戦いは止んだが、劉邦だけはそれを破り関中へ入った、他の地も占領し、項王まで攻めるとは貪欲な男だと嘆き、項王は漢王を何度も追い詰めたが手加減しきた、それなのに攻めて来るとは宛にならない男だ、そんな男を信用するのか?と早速論じます。主君に尽くすのは当然だと韓信が言葉を返すと、重用されているのは敵地を攻撃してくれるからで、この先も漢王の手からは逃れれまいと脅すように説く武渉。韓信は、お前が私の行く末を決めるのか?と笑いながら言うと、あなたが生き延びられたのは項王がいるからこそ、あなたは項羽と劉邦の二人の間で主導権を握っている、二人のどちらにもつかない場合、どちらが勝っても次に殺されるのはあなただと武渉。韓信は私の首がほしいのは項羽だろうと突っ込むと、それは違う、項王と将軍は昔馴染みがあった、今こそ漢王から離れる時と武渉は言葉を添えます。韓信は言いたいことは分かったと、ひとまず武渉を戻らせます。
項羽の使者が来たことで、蒯徹は戦が続き、民は苦しんでいる、項羽も出兵を繰り返し名を馳せるも京(けい:京襄城)と索(さく:索河)の間(滎陽の南部)より先には進めない、一方漢王は険しい土地を盾に鞏(きょう:鞏義)と洛(らく:洛陽)の間で防戦するも戦果がない、民は誰に頼ればいいものかと爆発寸前、あなたなら民を救える、項羽と劉邦の勝敗は大将軍にかかっている今、いっそのことどちらにもつかず、二人と並び立つべき、燕と趙も支配しているのだから、二人が弱るのを待てばいいと説く蒯徹。しかし、韓信にはうるさい戯言にしか聞こえてない様・・・蒯徹は民の為に立ち上がれ、“天が与えた物を拒めば罰を受ける”と引き下がりません。韓信が、“福をくれた人の憂いを分かち、悩みを担うべし。食べ物をくれた人には命を捧ぐべし。”とも言うと、大将軍の能力は漢王を上回り、いづれは身の危険を招く、大将軍に勝る者はいない今、項王には信用されず漢王には恐れられていては落ち着き先がないと脅し始める蒯徹。漢王の為にしているのだから、危害は加えないはずと楽観的な態度の韓信に、用が済めば殺される!と強く言い聞かせると、さすがに怒った韓信、剣を抜き蒯徹の首にあて、漢王に背く気はないと告げ、出て行くよう命じます。正気を失ったのは私なのか、大将軍なのか・・・そう、つぶやいで仕方なく下がる蒯徹。
臨淄城外。
臨淄を離れた武渉は漢王から派遣された盧綰と張良の部隊を待ち伏せし、韓信の兵に化けると、斉王・韓信の命で漢軍でも楚軍でも止まらねば殺すと脅します。盧綰が兵を密かに裏へ回し、楚軍兵であることを確かめると、張良は攻撃を指示。
武渉を生け捕った張良は、昔の馴染みで丁重に接すると訳を聞きだし、漢王と韓信へ離間の計は一石二鳥だったはずだが、石は武渉殿に当たったと、
臨淄、斉王宮。
張良が漢王の使いとして印綬を持って来たと知ると、蒯徹の進言を聞き入れなくて好かったと安堵し、これで漢王の信頼を得たと喜んだ韓信ですが、蒯徹が乱心したと知らされると、複雑な表情で面倒をみてやるよう命じます。
韓信は張良を自ら出迎えると、固く手を結びあって中へ案内。斉王になったことを祝福された韓信は、予想外でしたと謙遜し、なぜ“仮”という字を付けたのか尋ねられると、訳あって王を求めたが漢王に疑われるのではないかと思ったと答えます。もし疑うのなら南鄭で大将軍にはしていないと張良が言うと、取り越し苦労だったと笑う韓信。酒を酌み交わした張良は、武渉の話を持ち出します。すべてお見通しの張良、あの時殺しておけば良かったと後悔する韓信に、あの者は生かしておけば漢王に対する斉王の忠誠心の証人になると入れ知恵。喜ぶ韓信でしたが、酈食其の一件が気になり、どう思っているのか尋ねます。酈食其の死は斉王のせいではない、漢と楚の力関係が変わったせい、この乱世では明日はどうなるか誰にも分からないと宥め、気を取り直した韓信に北を守ってほしい、期待していると励まします。
広武、項羽の軍営。
処分を恐れた田横が、糧秣を奪って彭越のもとへ逃げたと知り、激怒した項羽は梁へ行くと息巻きますが虞子期は田横は彭越と手を組んだことで斉の人心を得て斉へ行くはず、それを追えば韓信と戦をする羽目になる、それを見越して手を組んだと止めると、糧秣を奪われたことで士気が落ちている事の方が問題だとして、彭越を利で釣ることを提案します。そこまで落ちてはいない!と激怒する項羽、勝負の行方を握るのは私だと聞き入れません。
ところが、食事の量が減ったことで兵たちの不満が募ります。それでも、秦との決戦の時も同じだったと強気の態度を見せる項羽。しかし鐘離昧は決戦前なら兵たちも活気づくが、ここでは力を消耗するだけで誤魔化しきれない、劉邦が閉じこもっていてはお手上げだと憂います。頼みの綱は虞子期が外黄から運んでくるはずの糧秣でしたが、彭越に奪われ一石もなく、補給路でもある虞県まで攻められたと戻った虞子期が報告。これが劉邦の作戦だと焦れる項羽のもとへ、とうとう兵たちが騒ぎを起こしたとの知らせ。
策に窮した項羽を見かねた虞子期は劉邦の父親の利用を思いつきます。対応に出た呂雉が、老人を使って脅すとは楚も地に落ちたものだと蔑むと、脅すのは漢王の方が得意だと虞子期は返し、早く父親と別れを言うよう促します。自分で父親を連れて来ると言い張った呂雉は、父親のもとへ行くと、項羽は劣勢となっていると励まします。
虞子期は項羽のところに父親を連れ行き、劉邦の目の前で父親を殺せば怒って出て来る、これしか策がないと訴えます。項羽はそれで、私は天下の笑いものになるのだと怒り出しますが、勝ちさえすればいい、こんな小さなことは誰も気にしない、敗北だけは避けるべき、兵たちの我慢も限界だと説得を続けます。やめろ!と項羽が一喝すると、范増様がいれば賛成したはず・・・と、つぶやく虞子期。范増の名に反応した項羽に、どうすればいいのか考え抜いた末の事、人殺しは嫌いだが、兵の士気を上げるためにやるしかない、手を汚すくらい平気だと覚悟の上であることも訴えますが・・・出て行け!と、項羽に怒鳴られ、仕方なく退出。
幕舎の外で、父親を殺す策を他の者たちにまで、楚の恥辱となると反対された虞子期は、敗北こそが恥辱だと言い返し、以前の王なら軍神と恐れられたが、今は食料不足で殺気立った兵たちに焼き殺されかねない!と声を荒らげます。そこへ項羽、窯を出せ、明朝火にかける!と怒りに任せて命じます。
明朝、漢軍の目の前に大釜を用意させた項羽は、項伯が止めに入るのも無視して火を点けさせ、劉邦が出て来るのをじっと待ち・・・。
第71話


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