新笑傲江湖(月下の恋歌)☆第41話

情字誤人 愛字害人
 恒山。薪を拾う儀琳の前に、伯光が手伝いますよと調子よく現れますが、儀琳は無視を決め込みます。めげずにまとわりつく伯光でしたが怒ると言われてやむなく退散・・・すると、倒れている唖おばさんを発見、儀琳を呼び、唖おばさんに点穴をして起こします。唖おばさんは何者かに襲われ、ここで倒れたと身振り手振りで説明、理解した伯光がこの間のおばさんは偽物だった、偽物は自分に師父を大事にしろと言い、令狐冲には師父と結婚しろと言ったと言うと、もしかしてと急に思い立った儀琳は駆け出して行きます。
 寺に戻り、おばさんの部屋で待っていると、現れたのは、おばさんに成りすました儀琳の姉・不敗。姉さんだったのね、と声をかけられた不敗は、姉は死んだと答えますが、死んだのならあんなことをするはずがない、私のためにしたのなら死んだなんて言って、悲しませないで、令狐兄さんにも無理強いしないで、伯光には愛する人が幸せならそれでいいと言ったくせに!私も相手が幸せならそれでいいの、姉さんもそうでしょう、何があったかは知らないけど、気づいてた、ここに来たのも令狐兄さんを一目見るため、兄さんも姉さんが好きなのに、なぜ向き合わないの?思いを吐き出す儀琳。
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儀琳の言葉に無理よ、もう終わったの、彼には盈盈がいる、だから自分の事よりあなたが気になる、それに・・・と答えて、不敗は顔を隠していた布を取り顔に追った傷を見せます。そして驚く儀琳に、あなたが今の暮らしに満足ならいいわ、自分を大切にすると約束してと告げ去って行きます。
 その夜。泣いている儀琳に声をかける冲。訳を尋ねた冲ですが、私の姉が好き?生きていたら会いたい?言われ、驚きます。生きていたと知って、あの時自分を捕まえたのはやっぱり!と思い立ち、おばさんの部屋に駆け付ける冲・・・東方不敗、生きているなら出てきてくれ!なぜ顔を見せない?と叫びなら捜します。返事がなく落胆する冲は、なぜ華山に来た?なぜ俺に近づいた?殺人は江湖制覇のためか?分からない、手を携えて歩いたのに、考えが違う、どこにいるんだ?何を考えているんだ?・・・案じるように独り言を口にします。
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物陰に隠れて聞いていた不敗はここに来る前の出来事を思い浮かべます・・・冲の前から消えたあと、思過崖を尋ねた不敗の前に風清楊が現れ、江湖の制覇など幻だ、この世の愛憎もすべて空しい、これらは人を惑わせる、そこから脱却出来ねば他人も自分も滅ぼすぞと声をかけると、不敗は制覇などもうどうでもいい、以前は教主になりたくて多くの人を殺した、たとえ江湖を統一しても最後には墓に入ると答えます。それを聞いた清楊は、江湖制覇の虚しさに気付いたようだが、愛憎はどうだ?と尋ねます。不敗は諦めがついたと答えますが、本当か?と清楊は疑いの表情。解せない不敗は、諦めたと言うのになぜまだを想っている?と問われ、令狐冲のことと察し、想っていないし、彼はもう私を信じないと答えます。なぜそれが分かる?と問われると、こうなる運命だった、私には恨みしかない愛はないと涙を流しながら答える不敗。それは違う、まだ愛してる、だからここに来たのであろう、忘れたのならここに来るべきではない、姿を消せば冲も忘れる・・・
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清楊に言われ、消えたい、消えれば忘れてくれる、死も一種の解脱と、つぶやく不敗。それを聞いた清楊は、一度死ぬのもいいかもしれんというなり、不敗を眠らせ、内傷の手当てを始めます。治療が終わり、目覚めた不敗が死んだのか?と尋ねると、そうだ東方不敗は死んだと清楊。やがて傷が癒えた不敗は妹に会うと言い張って冲のそばへ行こうとします。それを笑う清楊に、なぜ笑うのかと不敗が問うと、お前は一度死んで生き返ったのにまだ情と愛が何かとは分かっておらぬからだと答え、忘れられないなら誤魔化す必要はない、一緒に居られるなら居て、無理ならあきらめる、それが分からぬなら後悔するぞと諌めます。余計なお世話とばかりの不敗は何も答えず去って行きます。残された清楊は情は過ちを犯させ、愛は人を害す、どれだけの人がそれを見抜き、解脱できたことか、とため息・・・我に返った不敗、声をかけられずに冲を見送ると、諦めきれない自分に清楊の言葉が正しかったことを認め、私が諦めれば彼も私を忘れて幸せに生きられると考えます。
 剣の稽古中の恒山の弟子たち。そこへ冲が現れ、稽古の終了を告げます。もっと稽古をしないと魔教に太刀打ちできない儀琳たちは訴えますが、冲は速成に走ってはダメだ、稽古で疲れているところを攻められたらどうする?と言うと、今日からは精力を蓄えるのだと命じます。
 水辺で足を浸し涼む冲に、闘いの日が近いのにゆったりしているなんて、敬服するわと儀琳が声をかけると、心配しても仕方ない、やるべきことはやったと冲は答えます。それでも不安を隠せない儀琳はなぜ霊鷲寺に助けを求めないのか尋ねると、恒山派と魔教の問題に巻き込みたくない、生死のことは考えるな、最悪一緒に死ぬまでだとあっけらかんと冲は答えます。
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気が楽になった儀琳が冲を夕飯なので帰ろう誘ったところに、儀玉が現れ方証と方生が助っ人に来たと知らされ、大喜び。
 足をはだけた冲の姿に、闘いを前にしても変わらない様子だと敬服の意を表す方証。苦笑いの冲はなぜここに来たのかを尋ねます。恒山と魔教との話を聞きつけ来たという方証が、冲が魔教の副教主の座を断ったのを聞き、皆が喜んでいると話すと、恒山派のことで武林全体に迷惑をかけたくなく、霊鷲寺の手を煩わせまいと内緒にしていたのに知られてたしまったのかと冲は観念します。そんな冲を、魔教は当寺と五岳剣派をずっと狙って来たのだからこれは誰のせいでもないと方証は慰めますが、亡き師父は“正邪は相容れない”と言っていたが、自分は双方が譲歩すれば和解できると思っていた、でも自分と我行は縁があったのに闘いを免れなかったと冲は落ち込みます。正邪の争いも元を正せば武林に覇を唱えるため、冷禅は五岳剣派を合併し武林制覇を狙っていた、我行までもが同じ過ちを犯し統一に乗り出した、奴に野心がある限り江湖に安寧はない、だから我々は恒山を応援し魔教に対抗したいのだと冲を励まし、喜ばせます。冲が魔教が攻めて来ることをなぜ知ったのか尋ねると、方証は風清楊先輩が友人を寺に遣わして教えてくれと答え、友人の正体を知りたがる冲にその人の名は明かせぬ、出会いはすべて縁、名も身分も仮のもの、なぜこだわる?と教えません。
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冲は不敗では?と気にしますが、言わぬ約束なので理解するよう告げると、実はその友人から口訣(くけつ:口で直接言い伝える秘伝)を託され、伝えるように頼まれたと打ち明け、早速伝えることに。
 覚えの早い冲は、たった一晩で千字余りの口訣を覚え、方証を驚かせます。口訣の一部は風太師叔に伝授されたものなので、自分に代わって太師叔に礼を伝えてほしいと冲が頼むと、方証は先輩は令狐総帥に期待している、口訣に従い稽古に励むように言っていたと伝えます。しかし、自分の命は長くなく、どれだけ身につけられるかわからないと諦めの様子の冲。方証は一日でも長く稽古できればそれだけの結果が出るはず、何が起こるか分からぬ、百歳まで生きるやもしれぬのだと励まします。そこへ、儀玉が現れ、方生大師が不思議な者を用意したと知らせます。
 方生は若いころ、西域で過ごしからくり仕掛けを作る術と爆薬を作る術を学んだと打ち明けると、贈り物を用意したと冲に伝え、“聖教主は永遠に栄え、江湖を支配す 聖教を中興された聖教主 万歳”と刻まれた立派な椅子を披露。我行が好みそうなものだと冲が言うと、この椅子は座った途端命を落とす仕掛けがある、だが我行は素早い、不審に思い躍り上がれば仕掛けは役に立たないだろう、だから椅子の下に大量の爆薬を仕込んだ、導火線に触れさえすれば自然に爆発する、座らなくても引火するよう仕掛けたし、火薬を周囲と山道の要所に埋め込んでおいた、恒山の景観を損ねるのは免れぬが魔教を滅ぼせると方生は説明し、魔教は恒山を全滅させて霊鷲寺を襲う気だ、そうなれば大過は免れぬ、この毒計は我行を排除するための恐ろしい計はあるが、武林の大勢の命を救うためでもあると、冲の心中を察して毒系を使わざるを得ないことの釈明をします。方証も衆生を救うには魔教を滅ぼさねばならぬ一人を殺して数千人を救うのは慈悲深い行為と言えようと付け加えると、もっとも犠牲が少なく済む方法ですと納得します。出来るだけ人命を傷つけぬことが大事だ、撤退の方法も考えねばと方証が問うと、もぬけの殻にしてはどうかと儀玉が提案し、鉄鎖で魔教を火薬のあるところへ誘導し、自分たちは見性峰の裏の崖から縄で谷底へ降り敵の攻撃をかわすと説明。さっそく準備に取り掛かります。
 一方、黒木崖では、方証らが配下を率いて恒山に向かったとの知らせを問天から聞いた我行は恒山を攻めると見せかけもぬけの殻となった霊鷲寺を落とす計画を実行しようと意気揚々。寺には大勢の達人がいるが我々は人手不足ですと案じる問天は、
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計画に間違いはない、少数でも勝てると強気な我行に、多くの長老や香主、堂主が毒で死んだと現実を伝ます。我行は、その件については西域へ遣わしたと教徒たちには誤魔化してあるので教徒たちへの影響はないと問天から聞いて安心すると、名簿を見せます。そこに書かれた名を見た問天は、この者たちは入って日が浅く、武術も知恵も足りない、使えないと案じ、千秋らを呼んで遣わしてはどうかと提案します。奴らは令狐冲に心服している、恒山を襲わせるなど笑止千万だと、不機嫌に言う我行に、なおも今の兵力では霊鷲寺を襲うのは無謀だと進言する問天。時間がない、今を逃せば勝てぬ、お前は命令を執行すればよいでけなのに、気勢を削ぐ意見ばかり言う、用意周到なこの計画通りにすれば必ず勝てるのだ、命に従え!と怒鳴り付けます。驚いた問天でしたが、言葉に従います。
 琴を奏でる盈盈、指先の異変に気が付きます。そこへ、我行が一指を連れて訪れます。盈盈は異変を隠すために脈診を嫌がりますが、変に思った我行は無理やり娘の手を見て驚愕します。一指は内力で散らした毒のせいだと説明すると我行はまた内力で毒を排除してやるからと連れて行こうとします。しかし、一指にこれ以上は内臓が耐えられないと止められ、大激怒。慌てて盈盈が先生を責めても仕方ないと父を諌め、一指を戻らせると、これも天意と穏やかな表情になり、父を散歩に誘います。歩きながら、盈盈は疲労感漂う父を気遣い、向おじ様と仕事を分担し、休むように促しますが、問天が最近逆らうのが気に入らない我行は聞き入れません。不機嫌になった我行は突然咳き込み、案じる盈盈に、散歩は一人でするよう告げ戻って行きます。
 我行は問天に、明朝恒山に行き、奴らが警戒するように宣戦布告をしてくるように命じます。そして、黒木崖を下りる者は黒木令がいると周知させるように命じ、ない者は盈盈でも下山を許すな、盈盈が下山したら計画の妨げになるからと念を押します。それを密かに聞いた盈盈は、出入り口では黒木令がなければ下山させるな、お嬢様が下ろうとしたら必ず引き留め知らせよと命が下るのを目の当たりにし・・・。
 その夜、盈盈は密かに問天を呼び、明朝恒山に行ったら、令狐兄さんに手紙を渡してほしいと頼みます。更に、恒山の守りを固めるように、黒木崖に来て父に謝ってほしいとの内容だと正直に打ち明け、父が恒山と霊鷲寺を諦めるように、霊鷲寺の警戒を強めるように伝えてほしいと頼み、父の話を盗み聞いたと打ち明けた盈盈はこのままでは血みどろの闘いになる、
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双方に大きな犠牲が出る、私は下山できないからお願いするのとと訳を話します。今回の策には私も反対だが、聞いてもらえなかったと落胆する問天に、私はもう長くないからと跪いて嘆願する盈盈。さすがに折れた問天は承諾。
 明朝、黒木令を以て、外へ出ようとする問天・・・秘密の昇降機で下へ降り、外に出てみると、そこには我行。宣戦布告が遅れてはまずいので早く出たと言う問天に、布告ではなく降伏に行くのだろう、盈盈の手紙を知らぬとでも思うか、お前まで裏切るのかと問い詰める我行。私は忠実です、手紙は燃やしました、ただ、お嬢さんの気持ちを思って断れず、令狐冲にはここにきて聖教主に謝り、お嬢様のそばに留まるようにとだけは伝えるつもりですが偽りの気持ちはありません、許されぬなら殺してください、でもお嬢さまの気持ちは察してくださいと問天は訴えます。しかし許すと思うか?と怒る我行は、問天に掌の一撃。倒れた問天は反撃するがよい!と我行に怒鳴られますが、任務を終えたら戻って罰を受けますと言うと、傷ついた体で恒山に向かいます。我行は追おうとしますが、気が暴れ抑えるのがやっとの事。
 恒山。問天はやっとの思いで、たどり着き冲との面会を請いますが、魔教は通せない、前にも贈り物と称して攻撃してきたと警戒中の弟子たちに拒まれます。そこへ冲が現れ、その場に崩れ落ちそうになる問天を慌てて助けます。問天は真っ先に、盈盈が三屍脳神丹に毒されていることを伝え、早く会いに行くように冲に伝えます。
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冲は方証たちに、問天の看病と恒山を頼むと黒木崖へ急ぎます。
 黒木崖。冲は盈盈に会いに来た、邪魔する者は殺す!と強行突破を図ります。それを物陰から眺めていた不敗、近くの葉を飛ばし、魔教の者を片付けます。冲は誰の仕業か一瞬気にはしますが、急いで中へ。盈盈と再会した冲は毒が消えてなかったことを改めて知らされ、心配させたくなくなかったと聞いて思わず抱きしめます。悪かった、と謝り続ける冲・・・
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そこへ、我行。入る気になったか?と尋ねられるも、冲は盈盈を連れに来たと答え、結婚は許したが入教が条件だと言われても、それとこれどは話が別だと冲・・・二人の話は平行線のまま、怒った我行が気で盈盈を引き寄せ、娘を連れ出したらお前を殺す!と冲に告げます。
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盈盈はここを離れないから安心するよう告げると、我行は娘を愛しているなら入教しろと改めて告げます。冲は盈盈を愛している、そばにいたい、だがここのしきたりは我慢できない、殺すなら殺せ、俺は盈盈と結婚する!と断言。分からぬ奴だ!娘のことがなければとっくに殺していた!と怒りを現すと、そんなに強情だと自分を滅ぼすぞ!と冲。入教か、死ぬかだ!そう叫んだ我行は冲に攻撃を開始。応戦した冲は隙を見て、盈盈の手を掴むと行こう!と告げ、脱出を図ります。昇降機の間に来ると、冲は素早く衛兵を点穴で眠らせ昇降機に乗り込みます。
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追って来た我行も乗り込み、冲たちめがけて飛び降りると、冲も飛び出し応戦。二人が闘うのを見守るだけの盈盈でしたが、闘いの余波で昇降機を吊るす鎖が切れ、投げ出されます。それに気づいた冲は、盈盈を守るように下になり二人は一緒に落下し・・・。
第40話                         最終話
登場人物&キャスト
 我行さんと冲くんとの対決は避けられないとは思いつつ、出来れば平和解決を望んでましたが、とうとうその日がやってまいりました。かなり、傷ついている我行さんですが、娘の願いよりやっぱり自分の野望の方が大事と見える。誰のため?って、思うのだけどね、権力に取りつかれて我を忘れてるとしか思えない。かわいそうと言うか、痛々しいと言うか・・・(--;)愛する女性の父親と闘う冲も、切ないよね。それにしても不敗さんの存在が気になる。冲を助けたのはいいけど・・・。

お待たせいたしました、すみません。入試、卒業、入学、姉妹でWなものでしたので、なかなか手が付かずにいました。おかげさまで2人とも無事進学です♪残りはあと1話。今年度中に・・・頑張ります(笑)

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