嵩山。五岳派総帥決めの最中、口出しをする鳳凰に我慢ならんと出て来た泰山の玉璣子、馬鹿げた話はうんざりだ、お前がいなけりゃ静かになる、口出しするなと文句を言うと、誰が総帥になるかは五岳派の前途と武林の禍福に関する一大事、腕の立つ人になってほしいだけなのに、黄金と美女をもらった見返りに冷禅を推すのね、天門道人を殺しただけじゃ足りないの?と言い出します。怒った玉璣子は、調子に乗る鳳凰が近づくのを拒みますが鳳凰はおかまいなし。とうとう玉璣子が鳳凰に手を出しますが、出した手から毒を注入され危険な状態に・・・見かねた冷禅は、毒が体に回る前に、玉璣子の両腕を切断。総帥になりたくて賄賂を贈ったのに腕を切るなんて、もしかして口封じ?と冷禅を挑発しますが、動じないのを見ると、めでたい日に人殺しなんてしないわよね、冗談よ、でもこんな早まったことをするなんて頭がどうかしている、同門なら話し合えば済むのにひどいわと別方向から冷禅を攻めます。聞いていた冲は、鳳凰の言葉に感心しながら、誰かが言わせているのでは?と不思議に思い、ふと後ろを見ると盈盈の姿。鳳凰は冷禅に向かい仁義のかけらもなない、知恵も勇気もない、そんな奴に総帥は無理と言い放つと、ほかの者に向かい、私は無敵を誇る若き英雄を総帥に推薦する、不服であれば剣で勝負よと言うと、令狐冲は華山の元弟子、莫大殿とも仲が良く、泰山も馬鹿じゃないから反対はしないはず、5派のうち3派が推したも同然、それに剣の達人が総帥になるべきだからと冲の名を出し、冷禅には納得いかないなら腕比べをすることを提案します。当然納得できない冷禅は明日、剣で勝負することに。
冲は盈盈を部屋に入れ、再会を喜び、あなたを総帥にさせるために来たと言う盈盈に聖姑はすべての正派の敵だからと案じますが、危険は承知で来たことを知り、実はずっと会いたかったと本音を打ち明けます。盈盈は不群が合併に賛成したことから、冷禅はただの小人(しょうじん)だけど、不群は似非君子、冲の情を利用したと考えますが、冲は思案中。そこへ不群と中則。不群は今日のことで誤解しているのではと案じて説明に来たと言うと、お前を利用しているように思えただろうが、それは違う、莫大は脅され、泰山は買収され嵩山同然、合併は決まっていた、だが冷禅を総帥にしなければ奴の陰謀を粉砕できる、奴以外なら総帥は誰でもいい、むしろ実力から言えばお前がふさわしいと話します。冲は総帥になる気はないと口にすると、分かっている、だが明日の勝負は重要だ、絶対に冷禅を倒ししてくれと不群は頼み、中則も口添えします。二人が部屋を出て行くと、盈盈は話を信じるのかと冲に尋ねますが、冲は疑わず、盈盈に考えすぎだと優しく諭します。
翌朝。封禅台に集合した五岳の者たちに、冷禅は総帥の座は剣で決めることになった、だが、剣に目はない、間違って命を落としては同門にひびが入ると、闘い方を問います。不群は方証・方生両大師と青城派の余観主に立ち会っていただき勝敗を決めるのは如何かと提案。方証はそれを受け入れると、腕の優劣を決めるのであって生死を決めるのではないと釘を刺します。各派から1名を出場することにすると、すかさず鳳凰が泰山は左だか右だかの者に両手を切られて出れないけどどうするの?足だけで大丈夫かしら?と茶化し、玉磬子が怒って自分が出ると言い張ると、同門を殺す剣法なんてたかが知れてると続けます。すると娘さんの言う通り、泰山剣法をどれだけみにつけているのか?泰山の武術は貴殿のような卑怯者が習得できるものではないと平之が口を挟みます。不群は無礼を申すなと一応平之を咎めますが、自慢の婿養子がバカにするにもほどがあると玉磬子は怒りを現します。今度は霊珊が、夫がでたらめを言ったとでも?と突っかかり、泰山剣法で闘いましょうと言い出します。玉磬子は華山派が泰山派の剣法ができるとは初めて聞いたぞ、と不審を口にすると、父が総帥になるの以上、各派の剣法に通じて当然、でなければ勝負に勝っても総帥にふさわしくないと霊珊。不群も総帥の座を狙っているのか?と皆が思う中、不群は笑って今のは娘の冗談だと誤魔化します。玉磬子がそれならばご教授をと言って台に上ると、いいわ!と霊珊が台に。数手、剣を交えた霊珊は失伝した五大夫剣を披露するとまだまだあるわと、余裕で玉磬子を攻め、鞘で突いて倒してしまいます。今のは確かに泰山剣法だと方生が証し玉磬子の負けと判定します。冲の後ろに控えていた盈盈は、冲が教えたのかと尋ねますが、冲は洞窟の秘密を見つけたのだろうと答えます。
闘いを見た莫大、五岳に精通しているとは恐れ入った、我が衡山剣法にも分からぬ点がある、ぜひご教授をと出ると、私がお相手をと再び霊珊。霊珊が自分が負けたら父が出ることを許され、台に上ります。莫大は胡弓を弾き衡山剣法を繰り出し、その鋭さは手加減をせねば霊珊も危ういところ。霊珊の腕を知る冲が、玉磬子に勝てたのは失伝した技を使ったからだと案じていると、霊珊は洞窟の画を思い出し、莫大に小石を放ちます。小石で気を止められるとその衝撃が二人を襲い、二人は台の外へ飛ばされてしまいます。今のは何?と尋ねた盈盈に冲は、銅のおもりの代わりに石を使ったと、洞窟の画の話をして答えます。不群は闘いを見届けると、満足げに立ち上がる霊珊の頬を叩き、手加減する相手になんてことをするんだと一喝すると、分別のない娘で申し訳ないと莫大に謝ります。落ち込む霊珊を見かねた冲は、俺が相手をしますと声をかけ台に。対峙した二人、繰り出したのは冲霊剣法・・・霊珊が二人だけの記憶に思いを馳せていると、冲は自分の剣を放し、霊珊の剣を手で挟んで自分の体に誘導・・・霊珊の剣が冲を刺し、勝利は霊珊の手に。手当てを受ける冲を呆然と眺める霊珊をよそに、不群は3派を破った娘を褒め高笑い。冷禅も冲の敗退にほくそ笑みます。方生が華山は気功が有名かと思ったが、一心に剣術を研鑽し、各派の剣法に精通しており、見事だった、総帥の座は・・・と決めにかかると、冷禅が話を遮り、これで私に勝てば決まりだと闘いを挑みます。冷禅を目の前にした霊珊は、13手だけお相手します、13手以内に勝てなければ・・・と言いかけ、父から教わった13手だけでも見ていただきたい、これは精妙な技ですが、失伝して久しいので左師伯もご覧になったことはないはず、と言い直します。冷禅は13手のうち3手使われても面目がないと決し、相手をすることに。霊珊の剣を受けながら、嵩山の17套路(とうろ:型)の剣法にないことに驚き、勝つことは容易いが、二度と目にすることはないと、躊躇しながら、小娘相手に難儀ししていると思われると面子を考え、簡単に霊珊の剣を自分の鞘に納めると捻って霊珊を振り払います。霊珊は微笑みながら立ち上がると手心を加えていただき13手使えましたと礼を告げます。
闘いが終わったとみるや、陸柏が拍手をしながら前に出ると、師兄はお嬢さんの技が終わるのを待ち封じた、武術で大事なのは極めることで、多様さではない、お嬢さんは小賢しくも、他派の稽古を覗き見て盗んだ技で五岳の剣法に精通している自負している、各派には秘伝の心念があるというのにそれでは精通とは言えないと霊珊を貶め始めます。余滄海も他派の武術を盗むのは武林の禁忌だと同調すると、陸柏は3名にには勝ったが左師兄には負けた、総帥にふさわしいのは左総帥であられる、一門の武術を最高の域まで極めるのは、多くに手をダシ咀嚼できぬより素晴らしいことだ霊珊の顔を覗き込んで冷禅を褒めちぎります。周りからは五岳派総帥、就任万歳の声が上がり、決まったような雰囲気に。陸柏は公平を期して、左総帥に勝てると自負する者は名乗り出よと告げ、おらぬなら皆の望み通り、左総帥に就任を、と拱手。冷禅は五岳派は多士済々(たしせいせい:優れた人物が多いこと)、私には徳も能もなくこの重責は果たせぬと、一応断りますが、陸柏はそこをなんとかと、再び頼み、壇上へ促します。冷禅は、軽功で壇上へ飛ぶと総帥の椅子の前に立ち、皆さんのお引き立てがある以上、拒んでは保身しか考えず力を尽くさぬと思われると、口にしてから座ろうとしたところ、冷禅を呼び止める声・・・私の剣を封じただけで総帥になるつもり?と霊珊。冷禅は剣の勝負で決める約束をした、お嬢さんが私の剣を封じたなら誰もがお嬢さんを推したであろう、と言いくるめようとしますが、私ごときが勝てるはずがない、だがここには左師伯より腕の立つ者がいますと霊珊は強気で言い、それは?と尋ねられると夫は若輩ですから、左師伯には一歩及ばず、母なら伯仲するでしょう、父は左師伯より少し腕が立つと思いますと答えます。冷禅に娘に腕を買われているなと嫌みを言われた不群は、私の武術は方証大師らや、ほかの剣派の先輩方には到底及ばぬ、と一応謙遜し、嵩山と華山にはお互い長所があるゆえ、一度手合わせをしたかった、総帥が決まってない今、手合わせを願えば私が狙っているように思われる、それでは人様に笑われると、総帥とは関係ないことを主張します。冷禅の私に勝てば総帥になるべきだとの言葉にも、武術の腕と人品は別、私が勝ったとて他の名手に勝てるとは限らぬと低い物腰を取り続けます。冷禅が天下に知られる君子剣を目にした者は少ない、ぜひ披露してもらいたいと頼むと余滄海も口ばかりでなく行動を見せろと煽り、周りの者も剣で勝負しろ!と口をそろえます。失伝した絶技を身につけた術を不思議に思い少しばかりの不安はあるものの、霊珊のおかげで心の準備はできた、群雄の前で叩き潰してやると自信満々の冷禅は、台に飛び降りると、皆が腕前を拝みたいと言っている、顔を立ててくれと不群にもう一度頼みます。不群はそこまで言うなら従うしかあるまいと、承諾すると寸止めでいかがかと提案し、冷禅も同意します。が、周りからは剣に目はない!と声が上がり、手合わせする以上は死傷は免れぬと不群は納得したように言うと、華山の弟子たちに、私と左殿は腕を磨くだけで、怨恨で闘うのではない、もし私が殺されたり深手を負っても、激闘の際に制御が利かなかったまで、決して左殿を恨むな、嵩山に因縁をつけて同門の義気を壊してはならぬと命じます。呆気にとられて聞いていた冷禅ですが、合併は困難を伴う一大事、私たちが仲違いしては合併の趣旨に反すると言う不群に臆していると感ると一気に叩き潰すと念じます。不群は平之から剣を受け取り、冷禅も剣を抜きます。闘いは、方証たちも驚くほど激しく、お互いに似ている剣法に盈盈は華山のものか?と冲に尋ねます。違う、これは・・・と冲が思いあぐねながら見ていると、やがて不群は手より針を放ち、冷禅の目を襲います。目をつぶされた冷禅に、不群はここまでだ、剣に目はないからなと告げると、近づいてずいぶん辟邪剣法を稽古したようだが、あれは偽物だと囁きます。裏を知った冷禅は華山派に仕返しすると息巻く陸柏を抑え、岳殿が勝ったからには、総帥は岳殿だと告げ、去って行きます。不群は皆に向かい、寸止めという決まりだったが左殿の腕前が見事で、咄嗟に自分を守ろうと目に傷を負わせてしまった、心苦しい思いだ、必ず治すよう手配すると告げます。岳殿が五岳派の総帥だ!と声が上がると、不群は声を制し、皆のお引き立てならば固辞はせぬと遠まわしに総帥を引き受け、五岳派のすべきことは山積みだと告げると自分はまとめ役に徹するので、各派の事務はそれぞれに任せると指示し、五岳派の事務は協議で決めたいと告げると、解散させます。
それぞれが、場を引き上げる中、平之は余滄海に近づき、午前0時にここで待つと告げます。方証たちは冲を案じ傷の具合を尋ね、霊鷲寺の金創薬(きんそうやく)を与えます。感謝する冲が、方証たちに言われたことが果たせず恐縮していると、自分を責めるでない、人の心は推し量りがたいものだから今後はどんなことが起きるかわからぬ、これからも注意せよ、似非君子は小人より恐ろしいものと忠告し・・・。
第34話


登場人物&キャスト
五岳派を作ってトップに立とうと、画策してきた冷禅さんも不群さんの悪賢さには敵わなかったようですが、岳一家が結束したと言うことなのですね~中則さんも、覚悟を決めたか・・・。霊珊ちゃんがここまでやるとは、思いませんでしたが、冲くんと冲霊剣法で剣を交えるところは冲くんの霊珊ちゃんへの想いが突き刺さるようで、さすがに切なくなりました。体に受けた傷の痛みで心の傷の痛みを感じないようにしてるんじゃないかと思ったくらい。
それにしても、不群さん、悪すぎ・・・針を使うのが辟邪剣法の神髄ってこと?今更ですけど(笑)・・・五岳派を手中にしたら、あとは邪派を討つつもりなのかしら?冲くん、どこまでも利用されるような気がするけど(^^;)その前に、平之くんの復讐が・・・平之くんも針を使うのか?
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