黒装束の者との約束を果たすために、あの手この手で儀琳を幸せにしようとする伯光ですが・・・京劇の道化者のように歌って踊っては迷惑がられ、特別に作って来たとごちそうを差し出せば肉料理で吐き出されるはうまく行きません。そんな伯光の行動は、姉妹弟子に一途だと評され結婚してはとまで言われますが儀琳には迷惑なだけ・・・そんな経緯で自分の役立たずに嫌気がさして死のうと思った伯光、迷惑をかけてすみません!と儀琳に謝りますが、出家した身の私はあなたに恋愛感情は持てないと言われ、でも令狐冲には・・・と口にしてしまいます。何もないわ!と怒り出す儀琳、慌てた伯光は更に謝りますが、そばにいても怒らせるだけ、恒山を出て二度と煩わせないと出て行きます。物陰から見守っていた冲は・・・。
その夜、泣いている儀琳に唖おばさんに成りすました冲が寄り添うと、儀琳はいつものように、心の内を話し始めます。伯光が自殺しようとした、どうすればいいの?好きじゃないと言えば死ぬって言うし、でも好きになるのはあり得ない、悩みを打ち明ける母もいないけど、おばさんは耳が聞こえないから話すのよ、令狐兄さんに会いたい、忘れられないの私を助けるために命も顧みずに傷を負った兄さんを支えて歩いたことや、群玉苑でのこと、生死を共にしたことが忘れられない・・・そこまで言うと、何を言っているの?と急に立ち上がり、出家したのに男の人のことを考えるなんてと自分を戒め、手を合わせると我を救いたまえ、令狐兄さんを忘れさせてください、令狐兄さんが禍から逃れられますように、盈盈さんと末永く幸せになりますようにと仏に祈ります。更に令狐兄さんは束縛されないのが好きだから、一生楽しく自由に生きられますようにと祈りを続けます。吹っ切れたような儀琳は饅頭をおばさんに差し出すと、部屋に戻って行きます。見送った冲が振り返ると、そこには唖おばさん・・・。
冲は覆面をはずし、顔を見せると悪意があってまねたわけではない、饅頭もどうぞとおばさんの機嫌を取ろうとしますが、反応がないので、まだ許してもらえないならと服を脱ごうとします。するとおばさんは冲を点穴で動けなくすると、どこかへ引きずって行きます。武術ができたのか?と驚く冲は悪態をつきながらもされるがまま・・・。おばさんは冲を縛って目隠しをするとどこかへ・・・。向かった先は、冲を探していた盈盈のところ。盈盈を点穴で気絶させると担いで冲のいる部屋の、冲に見えないところへ縛り付けます。冲の目隠しを解くと、湯をかけたり短刀を突き付けて脅す素振りのおばさん、短刀は冲の大事なところで止まります。辟邪剣法を修業する気はないと恐れる冲、短刀を鮮やかに扱うおばさんに何者だ?と尋ねます。知る必要はない・・・答えた声に、東方不敗?と驚く冲。不敗は死んだ、とおばさんは答えると、儀琳を娶り二度と悲しませないか、去勢して結婚できなくなるかどちらかを選べと迫ります。儀琳さんは出家人だから、俗心を抱けば菩薩に罰せられると冲が断ると、関係ない、ただ可愛い妹に幸せになってほしいだけとおばさん。冲は俺は力になれないと首を振ると、俺は盈盈と結婚する裏切れない、裏切れば儀琳さんも許さないだろうと告げると、おばさんはお前が裏切れないなら、盈盈に捨てさせるまで、裏切るのは盈盈の方だと言うと盈盈を冲の前に。盈盈が話は聞いてた、嬉しいと冲に声をかけると、おばさんは、冲に譲歩してやると言うと、二人と結婚しろと迫ります。できないと言う冲に承知しなければ去勢する、とにかく結婚して儀琳に優しくするように、儀琳の幸せはお前にかかっている、そこを理解するよう告げるおばさんは・・・。
就寝の用意をしている儀琳。そこへおばさんが素早い動きで現れると、驚く儀琳の腕を引っ張って、どこかへ・・・。
一方、白熊と黒熊、孤桐と柏英の4人は無色庵と別院の井戸、茶壺、そして厨房の水がめにに毒を入れた、あとは明朝・・・と何やらよからぬ計画を実行中・・・。
儀琳を冲たちがいる部屋の前まで連れて来たおばさんは、戸惑う儀琳の名を口にします。口が利けることに驚いた儀琳は、今までの話しがすべて聞かれていたのだと知り、怒り出しますが、おばさんは誰にも言わないし、誰かに言わなければもっと鬱々としていたはずと言い聞かせ、令狐冲が一番好きなのは儀琳だと言っていたと告げます。嘘よ!私が知り合ったころは小師妹を好きだった、東方さんに出会って好きになり、盈盈さんと出会った、東方さんは行方不明で小師妹は結婚して今の令狐兄さんの心の中は盈盈さんだけと儀琳は否定しますが、それは違う、はっきりと好きなのはあなただと聞いたとおばさん・・・冲が自分の事を?と驚きながら・・・令狐冲は言う勇気がなかっただけで、今なら言えるそうよ、結婚したいとも、と何が何でも伝えようとします。令狐兄さんが好きなのは盈盈さんだけ、と突っぱねる儀琳にあなたも結婚すればいい、妻が何人もいるのは特別なことじゃないとおばさん。それは誰も好きではないということ、本当に好きになれば心にはその人だけ、今度変なことを言ったら私は死ぬわよ呆れながら言い放ち、去ろうとする儀琳。なぜ?好きなのでしょう?と再度尋ねるおばさん。そうよ毎日想ってる、だけどあの人の願いが叶うように祈るだけ、盈盈さんと一緒になれるように、結婚なんて考えたこともない、尼僧は縁起が悪いと言ってた令狐兄さんが私と結婚するはずがない、二度と言わないで、心は水の如く二度と心を乱さない、あなたにも二度と会わない・・・儀琳はおばさんに言うと去って行きます。
翌朝。儀琳は儀玉を探しますが、どこにもいないばかりか、ほかの者の姿も見えません。黒熊たちの手によって、千秋たちは眠らされています。お前の十香軟筋散(じっこうなんきんさん)は毒使いの司馬大も眠るほど、よく効くと白熊を褒める黒熊。尼たちは麓に運んだから、不群も約束を破れないだろうとほくそ笑みます。そこへ、千秋らを呼びに来た儀琳の声。白熊たちは隠れると、入って来た儀琳を気絶させ、ほかにもまだいるのではと探しに行きます。
その頃、冲は自力で点穴を解いたとろ。盈盈を助けようと縄を解こうとしていると、白熊たちの声。不群が辟邪剣法を伝授する話は本当か?全員に教えるとは思えない・・・そんな話をしながら、白熊たちが部屋に入って来ます。盈盈の姿を見た黒熊が、誰がやったのか?と助けようとすると、せっかくの手柄だと白熊が止め、尼たちばかりか総帥まで捕まえたとなれば、不群は確実に辟邪剣法を教えるだろうと俄かに考え、口封じに盈盈を殺そうとします。聖姑様には恩があると反対する黒熊が、了見が狭い奴は真の男とはいえんと言う白熊に反して盈盈の縄を切断。身構える白熊でしたが、盈盈が点穴で動けないと知ると態度が変わり、盈盈の点穴を解こうとした黒熊を殺し、孤桐と柏英に盈盈を殺すように命じます。さすがに怯む二人は丁重に断り、自分でもやりたくない白熊は三人でやることを提案、三つ数えたらと身構えます。その間に縄を解こうとしていた冲ですが、解くことができず、“辟邪剣法、至高の剣術なり、先に気を磨き次に心を鍛える・・・”と剣譜らしきものを唱えはじめ、三人の気を引きます。剣譜は大切だから身につけていると冲の言葉に白熊は柏英に捜すよう命じますが、後ろから奪うつもりだろうからと柏英は断ります。揉めている場合ではないと孤桐は間に入ると、冲の点穴が解けないうちに俺がと言いだし、手が出せないように白熊を遠ざけると捜し始めます。その時、縄を解いた冲、あっという間に孤桐と柏英を倒し、驚いた白熊は咄嗟に剣を投げ捨て盈盈に平謝り。冲に点穴を解いてもらった盈盈は二人は夫婦か?と孤桐と柏英に尋ね、死を覚悟した二人に互いに殺し合い、残った方を許すと告げます。顔を見合わす二人・・・先に動いたのは柏英、しかし聖姑様は嘘はつかない、俺が死ねお前は助かると孤桐が止め、お互いに自分が死ぬと譲りません。盈盈はそんな二人に命は許すが、下山してすぐに正式な夫婦となるようと命じ逃します。残った白熊は黒木令を手にした不群に尼を黒木崖へ連れてくるように命じられ、向かっている最中だと白状・・・これで許されたと思った白熊ですが・・・。
尼たちを運ぶ、魔教の者たち。そこへ現れた不群は、多いと目立つので手分けして運んでいると報告を受けると、教主の命で尼僧ををまず華山へ運ぶよう黒木令をかざして命じます。不審に思いながらも、黒木令には盛られない魔教の者。それでも、剣譜を見せる約束は?と確認しようとしたところ、不群は笑いながら剣を抜き、瞬時に魔教の者たちをかたずけてしまいます。その様子を窺う司馬大・・・。
黒木崖へ向かおうとする冲と盈盈。教主は弟子たちを捕まえて、俺を入教させる気か?と案じていると、争う二人に出くわします。見ると恒山の尼僧姿の鳳凰と伯光。鳳凰が男に好かれたいと言うからこの格好をさせたのにと言う伯光に、尼さんを好きになる男がいる?と怒りを現す鳳凰。弟子が捕まったのに何をしている?と呆れる冲・・・その話に、驚く二人。すると、空に日月神教の緊急招集の印。盈盈が行ってみると、不群が五岳派の達人を華山に集めている、黒木崖へ大挙して攻めて来るものと思われるとの報告。盈盈は教主に知らせると同時に、華山と他派の動きを探るよう命じ、教主が恒山派を黒木崖へ連れて来いとの命は受けていないことを確かめます。盈盈たちが黒木崖へ向かおうとすると、司馬大が現れ、不群が尼僧たちを連れ去ったと教え、毒を盛られたが自分は慣れているので気付いた、飲んだふりをして様子を見ていたら白熊たちが尼僧を運び出し、そのあと魔教の者が運び不群が・・・と見たことをそっくり報告。華山に皆を集めて何をする気だ?と気になった冲たちはさっそく華山へ。
嵩山。平之の辟邪剣法は磨きをかけ、目が見えずとも聴力を発達させた様子に満足げな左禅。まだまだ不群には及ばないと謙遜しながら、平之は辟邪剣法の関門を越える勇気はあるか?と左禅に尋ねます。失明したのに去勢までするのは気が引けると答える左禅に、抵抗があるならやめた方がいいと平之。左禅は不群が華山に各派の達人を集めているそうだ、洞窟に彫られた武術を習得させるためだと言うが、本当にあるのか?と尋ねます。ありますと答えると、これを機に各派に恩を施し自分の地位を確立したいのでは?と平之。左禅はそれが成功すれば自分たちの命が危ないと考えた左禅は先手を打つことを考え、華山のことはよく知っていると言う平之はこの機に一網打尽にしようと左禅に同意し・・・。
華山に来た冲たち、鳳凰と司馬大、伯光は一人で、盈盈と冲の三手に別れ、尼僧たちを捜すことに。儀琳を見つけたい一心の伯光、女の匂いを嗅ぎつけたどって行くと、岩の隙間からその匂いを感じ、迷うことなく、岩を破壊。現れた洞窟の中には儀琳たち。助け出された儀琳は冲の向かった先が思過崖だと伯光から聞くと、すぐに向かいます。伯光は儀玉にほかの者たちを助けるよう頼むと儀琳のあとを追い・・・。
その頃、思過崖では洞窟の中へ各派の者たちを招き入れた不群が思過崖について説明中・・・長いこと立ち入り禁止だったが、しばらく前にこの洞窟を発見した、ここには失伝した武術が書かれており、思案した末、五岳派の総帥として独り占めはならぬと考え、解放することにした、これで一層進歩するであろう、そうなれば一致団結して魔教を倒し武林の禍を一掃できると言うと、洞窟内を見せます。皆がその壁画に感心していると、蝋燭の火が急に消され、真っ暗闇に・・・現れたのは左禅。気配を察した莫大が応戦しますが、あえなく切り捨てられ、それを合図に左禅の手下が乱入、平之も交わり洞窟内は騒然となります。不群は密かに身を隠し事の収まりを待つ魂胆。それに気づかず、左禅と平之は斬りまくります。
そのころ、冲たちは久々に訪れた思過崖を、破門されたのにまた来るとはと感慨深く眺めています。ここで、面壁を命じられ、一年近く過ごしたと聞き、霊珊さんの事ばかり考えていたのでしょうと盈盈・・・すると奥から剣の音が聞こえ、二人は洞窟へ入ります。暗闇を灯りをかざして見てみると、左禅と平之の姿・・・と、突然不群が出て、冲を襲います。盈盈が打たれ、助けた拍子に灯りを落とし、再び暗闇に。盈盈と叫んだ声に冲だと気付いた左禅と平之が冲を狙います。冲は、盈盈を下がらせると、総訣式、破剣式と繰り出し、皆を切りつけ倒します。我々が見えるのか?と驚愕しながら崩れ落ちる左禅・・・霊珊との約束で命だけは助けた平之がもがいています。殺したければ殺せ!と開き直る平之を見て、盈盈は武術をできなくして、と冲に頼むと、冲は平之の足を腱を切り・・・。
第38話


登場人物&キャスト
お~♪やっぱり、不敗さん生きてましたね。崖から落ちて亡くなった方を中国ドラマでは観たことがありませんね~(^^;)崖は再生の場でもあるのかな?死んだと思わせて、別人になるっていうパターンが多いよね。妹が心配で出て来たみたいですが、冲くんのことは吹っ切れたのか?冲も、不敗さんだって気づいているはず。このまま終わるわけにはいかないよなぁ・・・なんて思っていたら、毒を飲まされた不群さんの動きが活発になってきました黒木令をてにして、魔教の力まで借りようとする姿は、救いようがない・・・。救いようがないと言えば、左禅さんと平之くんも同じ。末路は哀れです。
どんどん人が減っていく、この物語・・・どこまで減るんだろう?五岳派も恒山と華山以外は消えるのか?魔教も、不敗さんがどう反撃に出るのか・・・。
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