総帥となった不群は、皆を休ませるために本堂へと誘い、冲と話をしていた方証たちにも声をかけます。方証は用があるからと去って行き,、冲も声をかけられますが傷が治ったら改めて伺いますと、帰ることを伝えます。霊珊は手加減をしらず困った、しっかり治すんだぞと心配しながらも、満足げな様子で戻って行く不群に似非君子と吐き捨てるようにつぶやく盈盈。そこへ霊珊が心配そうな表情で冲に近づき、大師兄と声をかけます。何も言うな、と霊珊の言葉を遮る冲。霊珊の後には平之・・・。
霊珊と平之が戻っていくと、冲は今晩は嵩山や華山と一緒は嫌なので、この場に泊り、明朝下山すると指示。鳳凰たちは先に帰ることに。焚火を囲んで、儀玉は不群が針を使ったことから師父も不群に殺されたことを確信したと儀玉に話すと、儀玉も同じように考えており、冲に仇を討ってもらいましょうと訴えます。しかし、儀玉は怪我をしているし不群とは師弟関係で義理もある、頼めば困った立場となるから、しばらくは様子を見ましょうと反対します。そこに、平之が現れ、人と会う約束をしたと告げます。すると、約束の相手・余滄海が現れ、恒山の者たちを平之の連れと勘違いし、数に頼ればわしが恐れると?と文句を言います。ここで野宿をしているとは知らなかったと平之が答えると、私たちはあなた方の怨恨に関係ない、決闘なら見物させてもらうと儀玉。余滄海が納得すると、平之は近いうちに俺が江湖から青城派を消してやる!父と母を殺した罪は血で償ってもらうと告げます。余滄海はそれはこっちのセリフだ、わしの息子を殺したことを忘れたのか?岳殿の弟子なら殺さぬとでも?と告げると、弟子たちが剣に手をかけます。その刹那、平之は手にしていた手巾を放ると、それが地に落ちるまでに掌で弟子と余滄海を打ち、動きを封じてしまいます。驚く余滄海に、平之は薄笑いを浮かべて今日はお前を殺さない、一日ごとに死期が訪れる恐怖を味あわせてやると告げ去って行きます。平之の動きに不敗に似ているとつぶやく盈盈。
岐路についた冲、茶屋で青城派の一行に出くわします。席に座り注文をしていると、平之と霊珊・・・余滄海たちに緊張が走り、切りかかる弟子たちを一太刀で切り捨てた平之は何も言わず去って行きます。その夜、冲と盈盈が、平之の剣法は不群と不敗にどこか様子が似ている、まさか辟邪剣法を?風太師叔にしか破れない恐ろしい剣法だと話をしていると、剣を交える音が聞こえてきます。儀琳たちも音に気が付き、行ってみると平之と霊珊が余滄海たちと闘っている最中。賈人達と於人豪を相手に苦戦する霊珊は平之に助けを求めますが、平之は無視。見かねた冲が儀玉に助けるよう頼みます。儀玉はこの怨恨に恒山派は関係ないと躊躇していると、霊珊は危ない状態に。青ざめる冲を見た盈盈が霊珊を助けに行きます。平之は余滄海を掌で打ち飛ばすと盈盈の攻撃で隙ができた賈人達の首を・・・。賈人達が倒れるのを見た余滄海は慌てて逃走。満足げな平之は行こうと霊珊に声をかけますが、私を見捨てたから行かないと霊珊は答えると気にもせずに一人で行ってしまいます。残された霊珊に大丈夫かと近づいて冲が尋ねますが、気丈に助かったわと言うと嵩山の父のもとに行くと霊珊は立ち去ります。
冲たち一行が聚賢旅館に立ち寄ると、またも先客に余滄海。二階の席に通された冲たちが注文をしたところに、女性のような風体と化した平之・・・盈盈は香料の匂い感じます。余滄海のすぐ近くに座った平之は、於人豪を認めると当家を襲った一味にお前もいたな、灰になっても分かるぞと脅します。それがどうした!と立ち上がった於人豪に青城四秀(ししゅう)の一人だそうだが、豪傑の気概がない、大師兄曰く青城派は獣(けだもの)だそうだが、俺に言わせれば獣以下だと挑発・・・そこへ、笑いながら木高峰が登場。その手は霊珊にかけられ、平之に夫人を連れてきてやった、道に迷っていたのを救ったのだ、恩を返してもらおうと言うと、辟邪剣譜を見せろと要求。それを聞いた平之は確か、余観主も見たがっていたが、見たそうだと余滄海を巻き込みます。余滄海は見たと言うなら、岳不群に取られたと聞いたがどうやって?と木高峰に尋ねられると剣譜を見たのではなく、使う者を見たのだと返答。木高峰は偽物があるそうだが、と切り出すと林遠図の子孫は偽の辟邪剣法を身につけたからつたない剣法だったのだ、お前が観たのはどっちだ?と再び尋ると、それはわからんと答え、私には真偽の区別はつかない木殿なら区別がつくのだろうなと逆に尋ねます。木高峰がわしなら必ずわかると答えるのを聞いた平之、なら見るがいいと言うなり箸を取って放つと木高峰の目の前に突き刺します。何をする気だ?と慌てて霊珊に手をかけ人質とする木高峰に、江湖で名を成した奴が卑怯な真似をするのか?命が惜しくば3度叩頭して俺をおじいさんと呼べ、そうすれば1年は生かしてやると平之。怒った木高峰が衡山ではわしに叩頭したのに、わしが武術を教えなかったから岳不群の門下に入ったのだろう、そしてこの女をかどわかした!と挑発すると、平之は剣に手をかけ、気を木高峰に放ちます。机諸共吹き飛び、霊珊も衝撃を受けると、見ていた盈盈が咄嗟に飛び降り、助けます。その隙を突こうと、於人豪が剣に手をかけるや否や平之はまたも一太刀。それを見た木高峰が逃げようとしたところを、平之が後ろから一突き・・・木高峰は絶命しますが、切りつけたところから毒が噴出し、平之の目を傷つけます。目が見えなくなり、錯乱する平之を襲う余滄海・・・冲は盃を投げ余滄海の剣に・・・気配を察した平之、すかさず余滄海めがけて剣を放り・・・。
余滄海の最後を見届けた霊珊は、仇は討ったわ、早く目を洗いましょうと平之に近づきますが、平之は払いのけ、冲が恒山の傷薬を手渡そうとすると、死のうが生きようが関係ないと拒み、霊珊がせっかくくれたのにと言うなり、そんなに大師兄が好きなら一緒になれ!と叫びます。その言いように恥知らずと怒る儀玉たち言われた平之は更に怒り、余と木は剣譜を手に入れるために両親をころした悪人だ、お前の父親も陰険で卑劣で恥知らずな男だと霊珊を怒鳴りつけます。父親を侮辱され怒る霊珊でしたが、平之に押し倒され、親子で俺を騙した、華山の一人娘が身寄りのない俺と一緒になったのは辟邪剣譜のため、剣譜を手に入れれば俺には用はないだろう!と罵られます。否定しても聞かない平之に、どう思おうと、いつかは分かること、華山に帰って目を治しましょう、治らなくてもあなたへの気持ちは変わらない、もし裏切っていたら余滄海よりひどい死を迎えてもいいと訴えますが、綺麗ごとを言うんじゃないと平之は信じません。そのうち、目の痛みがひどくなり平之を連れて霊珊は医者へ。なす術もなく、ただ見送る冲・・・。
冲が一人で考え事をしているのを見つけた盈盈は、小師妹のこと?と声をかけ、どうしてもわからない・・・そう言いながら、夫婦のことだからと考えるのをやめる冲に、余滄海の仇を討ちに来るかもと持ち掛けます。二人ともけがをしていて、助けたいが、助けに行けば二人の仲はギクシャクするからと別の心配をすると、それは心配の一つに過ぎない・・・私に遠慮しているのでしょ?と冲の顔を覗き込む盈盈。その気持ちに応えるように盈盈の手を取る冲・・・私なら大丈夫、陰から二人を見守って何かあれば助けるのよと盈盈に言われ、笑顔が戻ります。
明朝、儀玉たちを先に恒山に返した冲は、盈盈の考えで変装することに・・・二人はとある農家を窺がいます。犬が吠え、農家の奥さんがイタチが来たのかと心配しますが、主人はおとなしい(実は冲たちがくれた餌を頬張っていた)犬の姿をちらっと見て気にしません。冲たちはそっと家の中を覗きます。そうとは知らない奥さんは、イタチはあなたの若い頃みたい、夜中に忍び込んできたわと笑います。聞いていた冲、盈盈みたいだと茶化していると、そのおかげで子供ができたのよ、父さんに怒られたけど、子供ができなきゃ結婚できなかったと仲睦まじい会話が聞こえ、盈盈と顔を見合わせ微笑みます。二人は物干しの着物を取り、代金を置いて着替えます。似合うか?と盈盈の前に現れた冲、俺たち兄妹には見えないな、夫婦に見えると思うよ、そうだ、黒木崖に犬は?と尋ね、こっそり忍び込むときの為の確認だと冗談を言います。バカねと半分嬉しそうに言いながら、先を急ぐ盈盈を追いかけた冲は手をつなぐと、俺の為に命を顧みない盈盈と一緒になりたい、武林の血なまぐさい争いから遠ざかって二人きりで暮らしたいと告げ、盈盈はそうなれたら嬉しいわ、あなたは私だけを想ってくれると答えます。
廃寺で休みを取る平之と霊珊・・・その様子を見守る冲たち。平之の世話をする霊珊は俺はもう利用価値のない人間だ!と拒まれると、なぜ辟邪剣譜を狙っていたと疑うのか、なぜ利用したと言うのか尋ねます。辟邪剣譜を手に入れるため、不群の命で茶屋を開いて自分を見張らせ、余滄海の息子にも勝てたはずなのに、何も知らない自分は下手な武術で助けようとしたと平之は霊珊も疑います。霊珊は父さんは労師兄だけを行かせようとしてたのに、私が無理について行っただけで剣譜を知らなかった、大師兄が青城派の弟子を痛めつけてから誤解が生じて、青城派の福州行きは華山派に不利になるからと父が私たちに監視させたと弁明しますが、平之はこの先、本物の夫婦じゃない自分たちは幸せにはなれない、今すぐ大師兄のもとへ行くがいいと霊珊を突き放します。霊珊は大師兄は兄のような存在で、尊敬はしてるけれど、あなたが来てから私が想うのはあなた一人だけ、その気持ちは変わらない、あなたについて行く、この先あなたに何があっても、生きている限り一緒よ、目が治らなくてもそばにいる、後悔しないと訴え平之に寄り添うと、だから、ここで私をあなたのものに、本当の夫婦になりたいと優しく請います。すると平之は態度を急変させ、やめろ!同情するな!行け!と怒鳴ります。訳の分からない霊珊は、私が憎いのかと尋ね、違うと聞くと、それならば、なぜ両親の目を誤魔化してまで親密なふりをしたのか尋ねます。平之は憎いのは不群であり、お前がいなければ自分は不群に殺されていた、不群は福州で袈裟を盗み華山では俺を狙い、その罪を大師兄に着せた、大師兄の剣法は辟邪剣法ではないと打ち明けていきます。信じられない霊珊は聞きたくない!と泣き出しますが、聞くんだ!強く言うと、曽祖父は袈裟に辟邪剣譜を書き写してあの家の仏堂に隠した、袈裟には辟邪剣法は恐ろしい武術であり、習得すれば子種が絶えることも、“剣譜に書かれた技はあまりにも魅惑的で我慢できずに学び始めた”と書かれており、祖父が林遠図の実の子ではないことを知った、彼は人目を誤魔化すために妻子を買ったのだ、そして、自分も結婚後に修業を始めようとしたが、誘惑に勝てずあの洞窟で袈裟を広げた、そこには最初の要訣が書いてあった、“神功のため去勢すべし”と、修業は内功の修練からだった、去勢しなければ、全身がマヒして死んでいたと聞かせます。遠図公と同じように人目を誤魔化そうと私と結婚したの?霊珊が尋ねると、不群一人を誤魔化すためだ、分かったか、俺が憎いだろうと平之。それでも、霊珊は仕方なくしたこと、あなたを憎んだことなどないと答えますが、急に父さんも?と驚きの声を上げ、そうだ、一派の総帥なのに事実を知られたら江湖の笑いものだ!とさげすむような平之の言葉を聞くと、大師兄、私が悪かったわ、袈裟を盗んだと聞いても信じなかった、でも急に腕が上達したから、大師兄を信じてたのは母さんだけだったと悔やみます。その言葉に、平之はやっぱり心の中にいるのは大師兄かと肩を落とすと、師娘は大師兄を信じていたし、不群ともそれで何度も争った、師娘は不群が辟邪剣法を修業していることも、不群が男でないことも承知のはず、不群は修業をやめるように言われ、やむなく袈裟を投げ捨てところに俺がいた、それで袈裟は俺の手に、だが不群はもう暗記してた、師娘は騙されたんだと不群の正体を暴いていきます。嵩山では不群と冷禅は二人とも辟邪剣法を使ったが、冷禅のは見かけだけ、武術の基礎があったから死は免れた、ただ冷禅がどこで辟邪剣法を習得したのかがわからない・・・平之が謎を口にすると、扉が開き、黒装束の男が入ってきます。左総帥の命で助けに来たと告げる男は平之が名を尋ねるも、悪者に襲われたと聞いて安全なところに連れて行きお二人を守るようにと言われたとしか答えません。平之は左盟主の好意には感謝するが自分の身は自分で守るからと断ります。去ろうとする平之に、その目は左総帥が治療しないと治らない、さもなくば命の保証はないと脅します。なぜ俺を守ろうとする?と平之が尋ねると、敵が同じ不群だからだ、貴殿の目の傷も元凶は不群にある、辟邪剣法を身につけた以上は不群の毒手からは逃れられぬ、その上、娘も近くにいる、身近な者には用心すべきだと男。その男をじっと見ていた霊珊は、正体が徳諾だと見抜き、名を呼びます。男は覆面を取ると、さすがだなと感心し、顔を現します。まぎれもない徳諾の姿に生きていたの?と驚く霊珊。徳諾は福州で見た死体は身代わりで不群から逃れるため、不群は似非君子で卑劣な小人だと告げると、聞いていた平之もあの日、襲われて気を失う前に男の足に金箔の紙が付いているのを見た、それは俺が両親に供えた残りだ、あの紙で不群の正体が分かったと付け加えます。もういいわ、と逃げるように後ろを向く霊珊を鼻で笑った徳諾は、平之に向かうと不群が口封じのために私を追わなければ、お前は今頃殺されていた、私がお前を救ったと恩着せがましく言うと、いつから嵩山に?と尋ねられると、最初からだ、左総帥は私を華山へ送り込み不群の武術や動向を監視させていたのだと話し始め・・・。
第35話


登場人物&キャスト
じわじわと余滄海を追い詰めていく平之くん、怖い~と思ったら、突然の大変身!女性化するならこうでなくっちゃ♪って感じですか(笑)元が綺麗だからね、もっと美しくなる?なんて期待してたら、今までどこにいた?状態の木高峰に邪魔されるとは・・・いつまでたっても、先がまったく読めない展開に驚きの連続です。
霊珊ちゃんが、とにかく可愛そう・・・いつかは知るだろうとは思っていても、こんな形だとショックは大きいだろうな、おまけに徳諾くんにまで、裏切りを知らされて・・・やっぱり、娘って父親と似ている男を好きなるのよね(^^;)
こうなれば、どっちかが命を落とすか全滅するかしかないのような気がしてきた・・・
冲くんは盈盈ちゃんと好い感じになってますけど、幸せな雰囲気になればなるほど先に悲しいことが起こるんじゃないかって思ってしまう・・・
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