その頃、任我行の冷気を取り除いた冲と盈盈は散歩中。歩きながら冲は定逸を殺したのは誰なのか考えます。疑わしいのは二人ね、と盈盈・・・一人は父と同じ腕前の左冷禅、もう一人は、東方不敗と名を挙げます。不敗が霊鷲寺にいたと?と不思議がる冲に東方が不敗で、聖姑はこの私だと教えます。驚いて混乱する冲に、かつて教主だった父を詭計で追いやった不敗は、疑われぬよう私を聖姑として優遇し、好きにさせてくれた、地位も高いのよと事情を話します。五覇岡の豪傑たちは正式な教徒でないが、忠誠を誓う者たち、頭領たちは年に一度毒消しを飲まないと屍虫(しちゅう)に脳髄を食い尽くされひどい死を迎える“三屍脳神丹”(さんしのうしんたん:第6話既出)を飲まされている、不敗は気に入らないと毒消しを与えないから私が不敗に頼んで毒消しをあげていたとの裏話に盈盈は命の恩人というわけかと冲は納得します。彼らに頼まれれば放っておけなかった、不敗といるのは息苦しいから、黒木崖を抜け出して緑竹翁と父を捜していたら令狐兄さんに出合ったと緑竹巷での経緯を盈盈が話出すと、なぜ老婆に化けてた?と冲。勝手に呼んでのでしょう、失礼しちゃうわと怒る盈盈、顔を見せなかったからな、見ればそう呼ばなかった、それに翁兄さんも“おば”と言っていたと言い訳する冲に緑竹翁の師父が父さんを師叔と呼ぶからよと答えます。さらに不敗と入れ替わった訳を尋ねられると、あなたが気を失った後、不敗が私の服を奪い私に成りすました、その後私は緑竹翁に父が梅荘にいることを聞き、その道中でまた令狐兄さんに会ったの、なのに知らない娘って言ったわと答えます。真相を知った冲は不敗は俺を騙していたわけかと暗い顔になります。その表情に不安げに不敗が定逸師太を殺したとしたらどうするの?と尋ねる盈盈・・・殺す、と冲。でも心の中は?と盈盈に尋ねられるも、心などない、と答えます。そこへ不群たち・・・冲たちは隠れます。
不敗から逃れ一息つくと、中則は余滄海を弟子を犠牲にして逃げるとはそれでも正派?と詰ります。貴様らを助けるため、師がいれば弟子はまた集まる我々が死んだら門派はなくなるとの余滄海の言葉に言い逃れだわ!と、怒った中則は剣を向けます。剣を避ける余滄海に胸を打たれた中則は江湖に知れたら笑いものよと更に詰りますが、余滄海は確かにその通り、知られるのはまずいと言いながら中則と不群に近づいていきます。不群は二人に勝てると思うのか?と留まるように言いますが、余滄海は普段は無理だが、負傷した虎は犬にも劣る、覚悟!と言うなり不群たちに手を出そうとします。と、その時、冲が現れます。令狐冲がいたか、と慌てて逃げる余滄海。冲は不群たちを気遣うと、余滄海を残忍な奴だと怒りを現しますが、奴より残忍なのは東方不敗だと不群は冲に八つ当たり。不群が今後も何人が殺されることやらと毒づくのを聞いて、不敗を捜しに冲は走り去ります。冲を案じる中則に、冲を弟子に戻すにはほかに方法がないと不群は宥めます。
冲が駆け付けると、余滄海の弟子たちの死体が横たわる中に、座り込んで遠くを見つめている不敗が一人。気配に気づいた不敗、振り向いて冲を認めると思わず駆け寄り抱きしめます。生きていたと涙を流しながら喜ぶ不敗を離す冲、殺したのか?と尋ねます。そうよ・・・罪もないのに?・・・殺さなければ殺されていた、私が人を殺すのはあなたのため・・・それは困る、俺のためと言うなら俺が死ぬよ・・・私にはあなただけ、あなた以外必要ない、なのに私を責めるのね、そう、私には人殺しなんて容易いの、だったらどうなの?・・・お前を殺す!不敗は転がっていた剣を気で冲に飛ばし、剣を手にした冲は、お前が殺したのか?と再び問います。そうよ・・・師父と師娘を傷つけたのも?・・・そうよ・・・定逸師太も?・・・違うと言っても信じないでしょう、殺して、正派の名誉を守りたいのでしょう?私を殺せば終わる、天下も平和になる殺して!殺しなさい!!その叫びに冲は思わず剣を不敗に突き刺します。不敗の体を貫く冲の剣。こんなつもりじゃない、すまない・・・狼狽する冲の言葉に耳を貸さず、不敗は冲の胸を打って飛ばすと、皆私を咎めるだけで、私に優しくしてくれた?あなたも奴らと同じ、これきりよ、今度会っても見知らぬ者と告げ去っていきます。駆け寄った盈盈を気にも留めずに走り出す冲。心配する盈盈に、黙れ!と大声をあげます。その態度から、冲が不敗を愛していると察した盈盈、人を好きになる苦しみは私にも分かる、何を言っても無駄だとは思うけど私も同じよ、分かる?と慰めます。その言葉に大丈夫だと答えると、まだやることがある、時間が必要なだけだ、忘れるための・・・と告げ、戻っていきます。あなたは知ってる?私の心を・・・盈盈は冲の姿を追いながら、おなたと同じ気持ちなのよ、と一人嘆きます。一方、冲に別れを告げた不敗は、すべての弟子に心変わりした男・令狐冲を殺すように命じます。
姿を隠し、気を養い体内の冷気も消えた我行は、冲に傷の様子を尋ねますが、放心状態の冲は答えません。代わりに盈盈が、気血がつかえ腕が動かないと訴えると、今度はわしが助ける番だと安心させ、冲に経穴を覚醒させる秘訣を教えてやる、梅荘では入教を断わられたが、今とは状況が違う、誘いを断るなよ、吸星大法を会得したお前の体内で各種の気がぶつかり合えば地獄の苦しみを味わうぞと話します。しかし、冲はお許しください日月神教には入れません、恒山派の総帥になると約束しましたと断ります。盈盈はこれ以上強要はしないでと我行に頼むと、我行も約束なら仕方ない、世の中を仰天させねば大物にはなれない、よし!尼さんの総帥になれと励まします。我行は盈盈に冲と行くのかと尋ねますが、盈盈は父さんと行く、誤解しないで令狐兄さんはただの友達よと答えます。冲は挨拶をすると、一人で恒山へ旅立ちます。
その頃華山には、陸柏が中秋の五岳剣派の大会への招待状を持って訪問中。任我行の復活で武林の雲行きは怪しい、同盟は結んだが、五岳が一つになり魔教に対抗すべきと考えていると左冷禅の考えを伝えた陸柏に、左盟主はその計画を着々と進めているようだがと不群は探りを入れます。陸柏は、魔教は勢力を広げ、天下のどの派も抵抗できなくなっている中で、我々が一丸となれば、気勢を削げるというもの、盟主の大胆かつ細心の計画です、定刻には出席いただいて五岳派の総帥を決めたいと伝えると帰っていきます。その後姿を見送りながら、有無を言わさぬ告知のようなもの、馬鹿にしているわと中則が怒りを現します。自分が総帥になると、何か勝算があってのことだろう、恒山派は二人の師太を亡くし親を失った子も同然、衡山派の莫大殿は江湖には関心がない、泰山派の天門殿は謀に弱い、冷禅は思いのままだと不群が言うと、私たちだけでは不利ね、冷禅の思惑通りに合併すれば華山派は跡形もなくなってしまうと心配します。憂いを抱えたまま、一人(辟邪剣法の?)稽古に励む不群・・・ですが、内傷を負ってしまい、なぜだ?と苦悶します。
書斎で調べ物をしている不群、中則が新しい服を作ったと持ってきたので袖を通します。もうすぐ新年になるから新調したと言う中則は、私たちが結婚したのもこの時期、もうすぐ20年が経つわ・・・としみじみ。不群はそんな中則の手を取りすまない、と謝ります。なぜ?と訳を尋ねる中則に歳月が流れても華山派は相変わらず、お前にまで心配させたと不群は答えます。それが私の務めと返す中則、中秋まで8か月しかないわと大会への懸念をしまします。不群は思過崖に3か月ほど籠り紫霞神功を修業し直したい、冷禅を破る方法を見つけてくる、いいか?と中則に意を打ち明けると、華山派のことは私に任せて安心して専念するようにと中則は答えます。そして不群は意を決し、辟邪剣法を会得するための条件を決行し・・・。
街中で令狐冲を人相書きを持って探す藍鳳凰、偶然にも酒を飲む冲を発見。会いたかったといきなり抱き着くと、逃がさないわよと冲を引っ張っていきます。令狐冲を見つけわよ~と大声で叫んだ先には恒山派の尼僧たち。冲を引き合わすや、鳳凰がお金が先、千両と交換よとせびるのを見た冲はどういことだ?と呆れたように尋ねます。この尼さんたちがあなたを探してるって言うから手伝ってあげただけと鳳凰が説明していると、尼僧たちは冲を総帥と呼び急に跪います。慌てて立たせる冲。儀玉は莫師伯に送っていただく途中で師父の死を知り、師太が総帥になるよう頼んだことも知っていますと言うと、俺なんかがと躊躇している冲にぜひ総帥になるようお願いします。その前に千両払ってと口を挟む鳳凰、冲になぜ千両なんだ?と聞かれ計無施が結婚したければ千両払えと言うのだから仕方ないでしょうと泣きつきます。呆れた冲は恒山に計無施を連れてくれば、俺たちが証人になってやると鳳凰を宥め、恒山へ・・・。
恒山・・・総帥となった冲を前に、私たちは今日から総帥と共に師父の仇を討つために努力をしますと儀玉が決意を語ると尼僧たちは師父の仇を!と声をあげます。冲に食事をすすめた儀琳にありがとう、師妹と礼を言う冲に師妹はおかしいですと指摘しますが、分かったよというなり師妹と口に出す冲、師太の遺言で総帥を引き受けたが俺は総帥であり師兄でもある、師叔ではないというのを覚えておいてほしいと皆に言い聞かせます。
部屋に案内された冲、出家人の生活は簡素です、ご辛抱をと言われ、十分だと答えますが、食事を見て精進料理なのには、口では淡泊で胃によさそうだと言いながら野菜と豆腐のほかにキノコと大豆が出ると言われガッカリ・・・お酒もありませんと言われると、酒はやめたtから必要ないと答えます。一人になると持ってきた包みを開け・・・酒をだすと、飲まずにいられるか、準備万端さとさっそく喉に流し込みます。
気持ちよく寝ている冲は暗いうちから起こされます。無色庵(むしきあん)で読経をするという儀玉に適当にやってくれと答えますが総帥も今日から習わなくてはいけません、覚えたら総帥が率先するのですと言われ、面倒だなと目をこすりながら起き出します。無色庵には既に全員揃っており、読経は儀玉が代わりにすることに。冲も見様見真似で木魚をたたき始めます。 ある日のこと。密かに釣りをする冲、魚を釣り上げやっと食える!と喜んだのもつかの間、儀琳が現れてしまい、残念そうに逃がします。天気がいいから運動していたと釣りを誤魔化す冲、釣竿は?と聞かれ、これは棍棒だとやって見せます。そんな冲の姿に儀琳は微笑むと、どうぞ、と酒瓶を差し出します。冲は手にするなり栓を抜いて匂いを嗅ぎます。下山して手に入れたのと誇らしげに言う儀琳の前で冲は酒を一気に流し込むと、飯がないことより酒がないのが困ると愚痴をポロいり。恒山の戒律は厳しい?と不安そうに尋ねる儀琳でしたが、厳しいことはないと言われ少し安心し、恒山は名所も多いから気にいると思いますと恒山をアピール。意を察した冲は師太と約束したんだ、逃げはしないと語りかけ、大喜びの儀琳に、でも一つだけ頼みがある、毎日酒がほしいと訴えます。お任せを!と張り切る儀琳、内緒でと言われ困り顔。冲は内緒にするだけ、嘘をつくのではないと納得させます。そんなところに、相談があると儀玉が呼びに来ます。
寺に戻り、継承式をする聞いて驚く冲に、総帥継承を武林の仲間と左盟主に知らせなければならないと儀玉。儀琳は師伯を殺した嵩山派に知らせる必要があるの?と不満を漏らす儀琳を、それが礼儀、その件は確かな証拠をつかんでからと説得します。冲がするのはいいが、大げさにする必要はないと言うと、儀玉は、ではお客は招待しないということにと提案し、日取りを決めます。正月にやってしまいたい冲ですが、正月は旅と結婚に良い日ばかり、就任と赴任によいのは2月はですと言われ、2月16日に決定。
剣の稽古をする尼僧たち。冲をそれを見ると、思過崖の洞窟の壁画を思い出し、稽古を止めると、少しは総帥らしいことをしないとなと言うと、恒山剣法を習ったことはあるかと尋ね、型をやって見せます。まさに恒山剣法!と驚きながら駆け寄った儀玉に師太たちもできなかったと言われ、伝授することに。 そのころ、思過崖では・・・弟子の運んだ食事の桶を異様な素早さで持ち運ぶ不群の姿・・・それを盗み見る平之・・・。平之が寝ていると、不群が密かに部屋に入り込み胸に短剣をあて、前回は逃したが今回は逃さんぞと迫ります。慌てて逃げる平之に追いついた不群は辟邪剣法を見せてやる!と叫び剣を向け・・・師父!と叫ぶ平之、夢から覚めます。師兄に師父の夢でも見たか?あと7日で帰ってくると、隣で寝ていた師兄に言われ・・・。
いつものように霊珊と剣の稽古をする平之ですが、心あらずねと指摘されてしまい、疲れたのかなと誤魔化します。一息いれて、腰を下ろした霊珊が汗を拭こうと自分の額に伸ばした腕から手拭いを取った平之は逆に霊珊の汗を拭いてやりながら、お腹すいた?と尋ね、果物を摘みに行きます。歩き出してすぐ、声をあげ倒れる平之。慌てて駆け付けた霊珊に誰かに一撃を受けたと苦しそうに言う平之、全身の経絡がやられた、俺の命など惜しくはないが、一つだけお願いがある・・・何も、言わないで、あなたは死なないと泣き出しそうな霊珊、なんでも約束するわと語りかけます。すると、急に本当に?とにこやかな表情に戻る平之・・・俺の妻になってと一言。騙されたと怒る霊珊でしたが、頬に平之のキスを受けると、うれしそうに知らない、母さんに聞いて、と言うと走り去っていきます。残った平之の表情は・・・。
第28話


登場人物&キャスト
不敗さんの一途な思いはわかるけど、冲も困るよねぇ(^^;)ほかのドラマを観てても思ったのだけど、一途なのはいいけれど突き進むだけの愛が多いわね~。執着心が強いとでもいうのかな、私のものにしたいって感じの愛し方・・・まぁ、それだけ障害も多いってことでしょうか。でも、どう考えてもこの二人、無理そうだけど、このまま終わるわけないだろうし、盈盈だって諦めることはできないでしょうねぇ。
冲くんも、真相を知ってどう変わるのか、心配でしたがまさか不敗さんを傷つけるとは・・・これには驚きました。驚いたと言えば、ほんとに恒山派の総帥になるとは・・・でも、楽しいので好いよね♪これで、心の傷が癒されれるといいのだけど。衣装もそれらしく変わって、かわいい感じになってるし。前の衣装も渋くて感じは良かったのだけどね、色合いが淡い方が似合ってる♪
不群さん、とうとうやってしまいましたか・・・すぐに女性っぽくなるのもなのかしら(笑)
この記事へのコメント
ちはる
冲が不敗だと知ってどうするのか気になってましたが、傷つけるなんて驚きました。懐が深い冲ですが人を簡単に殺してしまう不敗が許せなかったのしょうね。
定逸さんが不群によって亡くなってしまうのも驚きましたが、まさか冲が恒山派の総帥になるとは思わなかったので驚きました。恒山派の総帥として不群たち五岳剣派と関わっていくことになりそうですが百戦錬磨の総帥たちと上手くやっていけるのかしら。
不群ついにやってしまったようですね。悪の道まっしぐらの不群から目が離せなくなってきました。あの不群が女っぽくなったりするのかしら。そんな姿見たいような見たくないような…(笑)
ひらで~
不敗さんと冲くん、やっぱり
壁は厚かった・・・ただ、不敗さんが
なぜ日月神教に入ったのかわからないので
何とも言えないけど、命を軽く見ているのは
冲くんとしては許せないところなのでしょうね
恒山派の総帥、意外と似合ってますよね。
なんだか、女子高みたいだけど(笑)
不群さんは、どこまで女性化するのか、
想像するのも怖いなぁ(笑)