ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館
THE WOMAN IN BLACK
2012年 イギリス・カナダ・スウェーデン
監督:ジェームズ・ワトキンス
原作:スーザン・ヒル
「黒衣の女 ある亡霊の物語」
(ハヤカワ文庫刊)
脚本:ジェーン・ゴールドマン
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ダニエル・ラドクリフ
(アーサー・キップス)
キアラン・ハインズ(デイリー)
ジャネット・マクティア(デイリー夫人)
リズ・ホワイト(ジャネット・ハンフリー)
19世紀末。ロンドンに住む弁護士アーサーは
息子の誕生の際に亡くなった妻の死から
立ち直れず、5年が過ぎても
悲しみの中にいた。仕事も手に付かず、
このままでは解雇という状況で
受けた仕事は田舎町クライシン・ギフォードへ
赴き、アリス・ドラブロウ夫人が残した書類の
中から遺言書を見つけるものだった。
幼い息子を残し旅立った彼は列車の中で
その町の近くに住むというサム・デイリーに出会う。
町に着いた彼は、異様な雰囲気を感じ取る・・・まるで、招かれざる客のような。
『ハリー・ポッター』シリーズが終わり、出演者たちも
イメージの脱却をそれぞれ試みているだろうと、気になるのは
次の作品・・・“名前を呼んではいけないあの人”は人気スパイモノで
別人になりましたが(笑)、もともといろんな役をしてた方ですから
それほど苦労はしないでしょうね~でも、主役だったダニエルくんは
同時進行で成長してきたのですから、それは慎重になるのでは・・・
と思いましたら、ホラーです!それも、ゴシック・ホラーですから、
似たような雰囲気なので、大丈夫?って感じでした。
以下ネタばれあります。ご注意を。
ダニエルくんの役は、一児のお父さんで若き弁護士アーサー。
眼鏡もかけてませんし、もみあげもあって、なかなかの紳士の風貌、ただね、
いきなり涙目の悲しげな顔で登場なの・・・理由は次第に明かされ、
愛する妻は息子の出産で亡くなってしまい、その子も5歳になるのに、
悲しみが癒えずにいるのです。物語は、そんな状態が続いていて、
まともに仕事ができるのか?と心配されて、これならできるだろうと
与えられた仕事をするためにある町にいくところから始まります。
そこは、住人が既に怪しく、よそ者を敵視するような雰囲気。
映画自体は、3人の女の子が何者かに導かれるように、窓から
身を投げるシーンから始まるのですが、そこはアーサーが予約した町の
宿の屋根裏部屋・・・てっきり、ここで何かが起こると思ってますと
何もない(笑)展開はずーっと、こんな感じで、絶対怪しいだろ~って
思わせておいて、なにもないの(笑)びっくりシーンもあるのだけど、
最後の最後まで引っ張る、引っ張る・・・肝心な黒衣の女性も
思わせぶりに現れますが、アーサーに対しては何もしないのね。
こうなると、アーサーが事件の真相・・・黒衣の女の正体を知り、
子どもたちの死の真相を知った時に、どうなるか?ってことに
期待するわけですが・・・え?これでいいの?って感じな後始末。
ところが・・・なんですね~、このエンディング、一見悲惨ですが
本人たちにとってはハッピーエンドなのかな?
評価と言うか、思いは分かれるところですね。
私としてはこの後にもうひとひねり、欲しい感じでした。
子どもたちの思いが、抑えられていてかわいそうだなって思ったの。
アーサーは黒衣の女の思いだけを探し当てただけなのよね。
彼女の憎しみによって命を絶たれた子どもたちの霊も
ホントは救ってほしかった。アーサーを助けるデイリーの息子が
母に真相を語らせたり、父親を別室に閉じ込めたり、
息子なりに親を守ろうとする思いが感じられただけに
他の子が哀れでね・・・だから、エンディングは子どもたちへの
救いが欲しかったなとも感じました。それに、あれではアーサーの妻が
アーサーと息子を自分のもとに引き込んでいるようにも思えて・・・
私としては、霊になったら愛する夫や息子を死から守ろうとするのが
普通(笑)だと思うのだけど・・・てっきり、彼女が守ってくれるものだと
ばかり思っていたから、一緒に行くのか~?って(笑)
寂しさのあまりに、彼にこの仕事をさせて黒衣の女を利用したとか(笑)
まぁ、肝心のアーサーが彼女のそばに行きたいって
願っていたのなら仕方ないか・・・
もう、初めっから死人のようでしたからね~息子を見ると
妻を思い出して辛い人生送りそうだし。でも、息子にとっては
どうなんだろうね~彼の人生を親の思いだけで絶って良いのか?
続編あるらしいので、あのシーンから、息子が行くのを嫌がって・・・
な、とこから始まる、黒衣の女を退治する子どもたちの活躍を
期待したいが、違うだろうな(笑)
生死観の違いにもよる解釈の違いもあるんだろうね。
展開はともかく(笑)、ゴシック・ホラーとして好い作りですし、
ほどほどの恐さがあって、“ダニエルくんとお化け屋敷ツアー”感覚で
観ると好いのでは?
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