
常識を打ち破る理論で
野球を変えた
ひとりの異端児の闘い。
マネーボール
MONEYBALL
2011年 アメリカ
監督:ベネット・ミラー
原作:マイケル・ルイス
脚本:スティーヴン・ザイリアン
アーロン・ソーキン
音楽:マイケル・ダナ
出演:ブラッド・ピット(ビリー・ビーン)
ジョナ・ヒル(ピーター・ブランド)
フィリップ・シーモア・ホフマン
(アート・ハウ監督)
ロビン・ライト(シャロン)
クリス・プラット(スコット・ハッテバーグ)
スティーヴン・ビショップ
(ブレント・ジェニングス)
クリス・ドーシー(ケイシー・ビーン)
高校在学中にスカウトされ、半ば決まっていた大学進学を蹴ってまでプロに入るが、
大成することなく引退したビリー・ビーン。その後、弱小球団アスレチックスの
ゼネラルマネージャーに就任。2001年、アスレチックスは優勝を目前で逃すという
悔しい結果に、追い打ちをかけるように有力選手を大手球団に引き抜かれてしまう。
経済的にも厳しい貧乏球団では、その穴埋めすら満足にできないでいた。
そんな時、ビリーは選手のデータを重視した評価をする、
名門イェール大経済学部出の青年ピーター・ブランドと出会う。
ビリーはピーターの評価を元に、出塁率は高いが
安い選手を買って新チームを作り新シーズンに臨もうとするが・・・。
11月11日、観てきました♪
予定では『インモータルズ』に行くはずだったのですが
字幕版の上映時間が合わず、だったら
野球の話らしいけどブラピ主演だし♪今日から上映だし
朝の情報番組でブラピ観たし~♪・・・な、
軽い気持ちで本作に変更して観に行ったのですが・・・
野球のマネージメントという正直、興味のない話のはずが、
ブラピはカッコいいし、話は面白いし、感動するわ、泣けるわで
今年、一番かも~!みなさん、是非観て~!!って感じでした。
お話は、“ネット裏の4番打者”と呼ばれるほどにアメリカの野球を
ショービジネス型に変えた伝説の人、ビリー・ビーンの実話をもとに
作られたもの。
彼の半生を詳しく綴るわけではなく、転機となった2002年を中心に
彼の過去を織り交ぜながら描いていきます。
その過去は今の彼を作った消えない傷のように描かれ、
自然に彼を応援したくなるように散りばめられているのが好いですね。
彼の転機を作った人物、ピーター・ブランドも、
ちょっと自信なさそうな所が、好いんだな。
データで選手を評価って、今なら普通なんだろうけど
直感が勝負のスカウト陣の中で、こんなことを言ったら
村八分になると恐れているのが、よくわかって、
それがあるから、ビリーたちのその後の苦悩がより強く伝わってくる。
その苦悩を共有してるような感じになったところでの
アスレチックスの快進撃は素直に喜べて、20連勝のときには
大感動です(笑)巧いよな~って、思います。
ラストだって、単純に優勝しましたってならないところがまた凄くて(笑)
家族愛で泣かすなんて、ただもんじゃぁないですね~
突っ張って、突っ張って、突っ張り抜いた人の涙・・・
一緒に泣けます。。。
このブラピ、好いですよ~♪
本人は野球はあまりやったことがないらしいですが、
野球、上手そうですよね・・・そんなシーンは全くないけど
ファンは勝手にそう思ってしまうのです(笑)
老眼鏡?も好いよね~♪
娘への接し方も、離婚してたまにしか会えないせいもあるだろうけど、
理想的です。そりゃ、娘はお父さんに唄、唄ってあげたくなるわけです。
娘を持つお父さん、観たほうが好いかもです(笑)
選手たちを演じたのは元選手で今は俳優として活躍している人も多く、
スカウト陣の中には元スカウトっていう方もいたりして、
プレーとか、仕草とか、かなりリアルに見えるのも好いですよね。
再現プレーも忠実にしたとか・・・こだわりが伝わってきます。
監督役のフィリップ・シーモア・ホフマン、
監督、似合い過ぎ~!って程、貫禄が付いてましたね~。
ビリーのやり方に反対していたのに、20連勝が危うくなったときに
ビリーのやり方を受け入れる瞬間の諦めにも、祈りとも思える表情、
巧いな~って思いました。反対していた気持ちもわかるからね・・・。
野球映画で観たものと言えば・・・『メジャーリーグ』とか、
『ナチュラル』、あとはケビ・コスのを何本かぐらいかな・・・
そうそう、『プリティ・リーグ』っていう女性のプロ野球のも。
それほど観てはないけれど、アメリカにとって野球って
特別な存在だし、それゆえに大ビジネスなるんだろうな~って
ことは感じてましたが、選手たちが商品のように
入れ変えられるのにはビックリしました。
トレードはあっという間なんですね~
そういうシビアな世界も観られて、勉強になりました。
そうそう、イチロー選手、TV画面で出てませんでしたか?
日本へのサービス?って思ってしまいました(笑)
が・・・違ったみたいです ↓追記
ウレぴ総研2011年11月07日(月)より
ブラッド・ピット主演作『マネーボール』を手がけたベネット・ミラー監督が、11月11日(金)からの公開を前に来日。前作『カポーティ』とはまったく異なる“野球”という題材に挑んだ最新作について語った。
統計学に基づく“マネーボール理論”を武器に、貧乏球団オークランド・アスレチックスを強豪に生まれ変わらせた名物GM、ビリー・ビーンの実話の映画化。球界の常識を打破しようとする反逆児の挑戦記、世間を見返そうとする負け犬集団の奮闘劇、さらにビーンがトラウマを克服して再起を図るドラマなど、多様な側面を持つ作品に仕上がった。「今、君が挙げてくれた3つの要素のうち、最も深く掘り下げたのは3つめのビーンの個人的なドラマだ。映画の前半でビーンの反抗的な性格を描き、彼が負け犬集団を率いている状況を見せていく。そこから徐々にビーンが単に野球の試合に勝ちたいのではなく、自分の心の内側にある問題を解決したいと願っていることが明らかになっていくんだ。いわば究極的には、これは“救済”の物語なんだよ」
その“救済”というテーマに関わる重要なエピソードが、ビーンと離ればなれに暮らす娘との交流だ。とりわけ中盤、楽器店を訪れたビーンが娘のギターの弾き語りに聴き入るシーンが印象深い。「この映画では、様々な“価値観”について問いかけている。過大評価もしくは過小評価された野球選手の価値、そして収入や家族との暮らしなどの人生における価値。あの楽器店の場面は、ビーンの胸の内に迫り、彼にとって人生の大切なものは何かを探るシーンなんだ」
ハリウッドの野球映画には、きらびやかな光や色彩に満ちた映像、興奮を煽る勇ましい音楽が付きものだが、本作はまったく違う。人生と格闘する主人公の情熱や孤独を繊細なタッチであぶり出し、野心的なまでに陰影豊かな作品になった。この問いを受けて「ある意味、これは野球映画ではない」と切り出した監督は、静かに、きっぱりと次のように続けた。「これは体制に立ち向かい、既存の価値観を覆そうとした男の物語。だからこそ従来とは異なるアプローチがふさわしいと考え、この手の野球映画、スポーツ映画にありがちな要素を排除することにしたんだ」
そして我ら日本人の誇りたるイチローについて。ビーンが空港で野球中継に見入る何気ないシーンで、そのモニターにイチローの姿が映るのだ。これは決して日本の観客向けのサービスショットではない。「中継カメラがアップで捉えたイチローとそれを見つめるビーンの図は、まるで西部劇の決闘みたいだよね。このときビーンは主力選手を引き抜かれ、新たな選手を獲得したいのにお金がない。ビーンにとってイチローはぜひとも欲しい選手だが、高給取りの彼には手が届かないんだ。イチローはそんな苦しい立場のビーンに脅威を与える“敵”のようにも見える。そんな雰囲気を感覚的に表現してみたかったんだ」
取材・文:高橋諭治
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