
涙も忘れて心が躍る、
小さな村のハレ舞台。
大鹿村騒動記
2011年 東映
監督:阪本順治
原案:延江浩
脚本:荒井晴彦
阪本順治
主題歌:忌野清志郎“太陽の当たる場所”
出演:原田芳雄(風祭善)
大楠道代(妻の貴子)
岸部一徳(幼なじみの治)
松たか子(総務課職員の美江)
佐藤浩市(バス運転手の一平)
冨浦智嗣(雷音)
瑛太(郵便配達の寛治)
石橋蓮司(土木業の権三)
小野武彦(温泉旅館社長の一夫)
小倉一郎(農家の満)
でんでん(商店主の玄一郎)
三國連太郎(歌舞伎保存会の長老・義一)
長野県下伊那郡、大鹿村。四方を山で囲まれたこの地では、三百年以上にもわたり
村民の手で村歌舞伎の伝統が守られてきた。
公演を五日後に控えた日。シカ料理店「ディア・イーター」を営む風祭善の所へ
都会からアルバイトに応募してきた青年・雷音がやって来る。
大鹿歌舞伎に人生を捧げ、花形役者でもある善は雷音に
「この村じゃ芝居しないと嫁が来ない」と話すが、実は嫁に逃げられた過去があった。
村役場ではリニア新幹線の誘致をめぐる村人による会議があり、もめていたが
善は芝居の稽古がしたくて早々に切り上げる。そこに、善の逃げた嫁・貴子と
幼馴染の治が突然現れた。
4日、観てきました。
大鹿歌舞伎は、長野県でも北に住む私にとっては
かなり遠いところでのお話なのですが、、季節の便りにのように
TVニュースや新聞では必ず毎年取り上げられていていたし、
NHKのドラマ「おシャシャのシャン!」の舞台でもあったので
県内では知られた伝統芸能として、存じていました。
映画化については信濃毎日新聞に映画に記事が、よく載っていて、
原田芳雄さんが昔から好きだったこともあって、
そうした記事など気にしながら公開を待っていたのですが、
まさか遺作になるとは・・・でも、ご本人も覚悟していたのか、
「自らの原点を確認するためにどうしてもやっておきたい」と
切望し作られたことを思うと、役者人生を表すにはもってこいの
題材、ロケーションだったのだと思いました。
お話は、村挙げての歌舞伎公演がせまったある日、
新しい村民と、旧村民が村にやってくるところから始まります。
村を取り巻いていた平穏な空気が彼らによって乱されて・・・
もちろん、乱すものは人ばかりではなく世の中の動きも加担して、
村は大騒動に!
観ているこちら側は、笑えることばかりだけれども、
村にとっては一大事なことばかり。それでも、
過疎化、地デジ化、性同一性障害、リニア問題、認知症、中国人労働者、
土砂災害、地デジ化、ジビエ料理等など、最近の話題満載で
妙に、身近に感じます。
お話もおもしろかったけれど、やっぱり役者さんが凄い!
みな、自ら参加を希望して集まった事だけのことがあって、
楽しんで演じているのが感じられます。
原田芳雄さんと大楠道代さんで思いだすのが
鈴木清順監督作の『ツィゴイネルワイゼン』・・・
若い時に観たせいか、こんな世界があるんだ、
とショックを受けた思い出深い作品です。
あの時の二人が・・・と、奇妙な感じ。
でも、原田さんのすべてを受け入れる自然体の感じが
とても心地よくて、観ていて楽しかったですし、
大鹿村の自然に負けないくらいの大らかさで、とても素敵でした。
その上での、ラストの一言(?)は最高です!
思うことはいっぱいあるはずなんだけど、
なんだか、まとまらない。
楽しくて、ちょっと切なくて、好い映画です!
大人向けですけどね、多くの人に観てほしいな♪
リニア問題、どうなるんでしょうね~
秋の歌舞伎公演、問い合わせが殺到して、
二日公演になったとか・・・凄いね♪
この記事へのコメント
悠雅
こちらではやっと最近公開になりました。
同県内の行事でも、距離があったらTVを通して観るのが関の山、というか、
年1回、風物詩のように放送される光景を観ているだけの県内の有名行事ってありますよね。
奈良も歴史が長いですから、いろんな年代の様々な行事がありますが、
思えばほとんどをTVでしか観てない気が。。。
まして遠く離れた県外ですから、大鹿村が実在すると知った時はビックリ!
調べてみて、あの立派な舞台や演目の多さに二度ビックリでした。
原田さんの遺作ではありますが、かなりの思い入れがあったことが見て取れる、
本当は相当シリアスな問題なのに、みんな仲良く和気藹々、わいわいやってる感じが羨ましいような、
とても軽やかに感じるお話でした。
いろんな役柄を印象強く演じてこられた原田さんの遺作が、
ほんわかテイストの楽しい作品でよかったなぁと思います。
遅れてでも上映してくれたシネコンに感謝です。
ひらで~
奈良でしたら、それはそれは
お寺や神社などで、歴史的な行事が
通年どこかしこで行われているのでしょうね。
全国的に知られているのもあれば
きっと、密かに行われているのもあって、
知らないものも多そうです。
大鹿村、私も知っているけど、
行ったことはなく、
この映画のお陰で全国的になって
観に行こうとも思ったのですが、
問い合わせが凄くて・・・なんていう
ニュースで、これは暫く近づけないかもと
諦めました(笑)
原田さんが、村を愛していた証しのような
この作品、沢山の方に観ていただきたいです。