シングルマン
A SINGLE MAN
2009年 アメリカ
監督: トム・フォード
原作: クリストファー・イシャーウッド
脚本: トム・フォード
デヴィッド・スケアス
衣装デザイン: アリアンヌ・フィリップス
音楽: アベル・コジェニオウスキ
出演: コリン・ファース (ジョージ)
ジュリアン・ムーア (チャーリー)
マシュー・グード (ジム)
ニコラス・ホルト (ケニー)
ジョン・コルタハレナ (カルロス)
1962年、ロサンゼルス。大学教授のジョージは、16年間一緒に暮らしていた
パートナーのジムを事故で失くして8ヶ月、見た目は普段と変わらずも絶望した
日々を送っていた。そして今日、すべてを整理し人生を終えようと決意する。
だが、そう決意し始まった1日はいつもとは違っていた・・・。
2009年の複数の映画賞でコリン・ファースが主演男優賞に
ノミネートされ、アカデミー賞は残念でしたが、
英アカデミーやゴールデン・グローブ賞では見事受賞、
ファンとしては嬉しい限りでした♪
ただ、日本での公開はいつ?状態で、ようやく公開、と思ったら
公開劇場が都市部ばかりで地方では無理かも・・・
半ばあきらめておりましたら
かなり遅れてではありましたが、こんな田舎でも公開されて
それが凄く小さなスクリーンでも、嬉しくて♪
年末の忙しい時期も気にすることなく(笑)行ってまいりました(28日)。
監督がグッチやイヴ・サンローランで活躍していた
ファッション界を代表するデザイナーだったという情報も
あとから入れたくらい、コリン・ファース主演以外に興味が
なかったのですが(笑)、映像を観ているうちに
なんか違うな・・・と、さすがに気がつきまして
色合いとか、配置とか、そして科白とか
アート感覚で楽しめる雰囲気が妙に楽しくて、
今までに見たことないコリン・ファースに酔いしれ
物語の悲しい結末でさえも、納得できる出来に
一年の締めに好いもの観たな♪と幸せな気分になりました。
物語は一種のマイノリティの悲劇を扱っているので
決して楽しいお話ではありません。
表面的には解放にむかっている時代の中での閉塞感、
彼らをそんな境地に貶める恐怖感が蠢く60年代初頭の
アメリカの姿を背景に描き、絶望感に溢れているのですが、
そこは過去のお話ですので
そこからを知っている私たちにとっては懐かしさを伴いながら、
(といっても、私が生まれる少し前のことですので何となくですが)
それでも愛する者を失うことによる悲しみの深さには共感しつつ、
皮肉的ともとれるラストには、悲劇ではあるものの
漸く訪れる解放感にも感じられて、不思議にもホッとしたりして・・・
もちろん、新しい人生を送って欲しいと願ってはいましたが
たぶん、そうなるんじゃないかなという予想通りの展開に
ホッとしたというのもあるかも(笑)
でも、この作品のトーンには相応しいラストだと思うのです。
閉塞感を漂わせる水中シーンとか、
セピアを通り越した茶色に覆われた世界とか
その中で際立つカラーや
スローモーションやアップの使い方とか
アートにどっぷり浸かっている雰囲気が気持ち好かった。
観ている側をイライラさせるような使い方は
たぶん簡単にできると思うけど、物語に反して
気持ちよくさせるって難しいよね。
ただ、若い時に観たら解せないところあるかも・・・。
主人公と殆ど同じ世代かどうかっていうのは
楽しめるポイントかもしれないです。
さてさて出演者♪
この、コリン・ファースはヤバイです(笑)
理由を語らせたらめちゃくちゃ長くなるのでやめときますが、
観ればわかりますから♪
コリン扮するジョージの亡くなってしまったパートナー、
ジム役のマシュー・グード。
『マッチポイント』で気になって以来、
漸く来た~♪って感じ・・・死してもジョージを離さない魅力、
感じますね。日本的に解釈したら、とり憑いていた?
死を決意したジョージの変化を本能的に見抜いて
心配だから・・・と、まとわりつく青年(教え子)、
ケニーにはニコラス・ホルト。
『アバウト・ア・ボーイ』のあのぽっちゃりした少年が
こんなに素敵になったなんて・・・だから英国好きよ♪(笑)
ジョージが迎えるラストは納得なんだけど、
ケニーがその後迎えるであろう悲しみを思うとね、
やっぱり、切ない・・・と思うほど、いい子なのです。
また、映画賞の季節になってきました。
コリン・ファースは『英国王のスピーチ』で 公式HP
今年も複数の映画賞の男優賞にノミネートされ
すでにいくつかの賞で受賞!期待は大きいぞ♪
日本公開は2011年2月26日。
アカデミー賞の発表直前・・・ちなみに
ノミネートの発表は1月25日(日本は26日)
授賞式は27日(日本は28日の月曜日)。
司会者はジェームズ・フランコとアン・ハサウェイの
若手コンビで一気に模様替え♪
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