愛を読むひと☆愛は本に託された

映画館で鑑賞♪(実は24日)
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愛を読むひと
THE READER
2008年 アメリカ・ドイツ
監督: スティーヴン・ダルドリー
原作: ベルンハルト・シュリンク
    『朗読者』(新潮社刊)
脚本: デヴィッド・ヘア
音楽: ニコ・ムーリー
出演: レイフ・ファインズ (マイケル・バーグ)
    ケイト・ウィンスレット (ハンナ・シュミッツ)
    デヴィッド・クロス (青年期のマイケル)
    レナ・オリン (ローズ・メイザー/イラナ・メイザー)
    ブルーノ・ガンツ (ロール教授)
1958年のドイツ。15歳のマイケルは帰宅途中、気分が悪くなったところを
通りがかりの女性に助けられた。後日、お礼に行った彼は彼女に心を奪われ
関係を持つようになる。母親ほどに歳の違う女性の名はハンナ。何回かの
逢瀬の時、彼女は本を読んで聞かせてほしいとマイケルに頼む。マイケルは
彼女にいろいろな本を読んで聞かせては情事を重ねる日々を過ごすが、
ひと夏が過ぎたある日、突然彼女はマイケルの前から姿を消してしまう。
8年後、法学生になったマイケルは思わぬ場所でハンナと再会することに
なったのだが・・・。

6月公開作品で、一番観たかった作品です♪
でも、アカデミー賞授賞式でヒュー・ジャックマンが
The Reader~♪The Reader~♪と唄って踊る姿が思い出されて(笑)
どう軌道修正すればいいの?なんて思ってましたが・・・

物語は・・・以下ネタばれありです・・・1995年(だった?)
一人の男性・マイケルが昔を思い出すところから始まります。
それは15歳の時に出会った女性・ハンナのこと・・・。
初めての関係した歳上の女性との淡く苦い初恋のお話・・・
よくありそうなお語で始まった物語は
意外な展開を物語っていきます。
かつて彼が愛した女性との再会は
法学のゼミ研修でたまたま傍聴した
戦犯を問う法廷でした。
ハンナは罪を被ってまでも明かしたくない
ある秘密を抱えており
その秘密を知るマイケルはそれを明かすか、悩みます・・・
このあたり、観ている側はなんとなく秘密が分かるようになっていて
その理不尽に苛立ちを感じますし、
このような話を聞くと
人間の善悪の境界線というのは実に不透明で
それは政治や道徳観や歴史観で常に変わるものだと
いつも思ってしまいます。
ただ、それだけで終わらなかったのがこの物語の深い所・・・
結局は秘密のまま、ハンナは罪を償うことになるのですが
その前後のマイケルの行為は、
知られたくない彼女を想った以上に彼女の罪の重さを感じ、
そして知らなかったとはいえ、そんな罪を犯した彼女を愛した自分への
戒めがあったのではと思いました。
そして10年後、マイケルは獄中のハンナへあるものを送ります。
これを観た時はさすがに泣けました。
正直、私はここで終わっても良いんじゃないかと思いましたが、
物語はまだ続き、彼女の終焉を描いた後、
冒頭の時代に移り、彼の未来へ繋ぐところで終わります。
罪を償ったはずの彼女に対して
戦時下とはいえ、人道に背く行いは社会的には
生涯をかけても許されるものではない事として扱われますし、
マイケルも引きずったままでしたが、
マイケルの娘にハンナについて語りだすところで終わるのです。
彼なりに過去を清算し、またその過去を自分自身で
受け入れらることのできた現われなのかもしれません。
そして受け入れがたい秘密を持つがために
過去に翻弄され人知れず去った彼女について語ることで
彼女は永遠に生きていくことになるのですね。
本当の意味で彼が“THE READER”になったのでしょう。
そこまで描かなければ今や未来に繋がりませんね。

行間を読む映画・・・二人の男女の愛、生き様を語りながら
その行間には戦争を含む半世紀にわたる歴史も描かれ
本当にたくさんのことが読み取れました。
惜しいのは、やっぱり言語かな・・・でも・・・う~ん、難しいな。

アカデミー賞では主演女優賞を受賞したケイト・ウィンスレットは
それが当然のこととして、さすがとしか言い様がありません。
対する男性陣はレイフ・ファインズとデヴィッド・クロスのお二人。
若き日を演じたデヴィッド・クロスはドイツの出身だそうで
ドイツ映画好きには期待が高まります♪
デヴィッド・クロスの演じた役を違和感無く受け継いだ
レイフ・ファインズは“心のゆれ”みたいなものが
感じられて切なかったです。


戦争を思い出す季節がやってきます・・・
本当はその時だけじゃいけないのですが、
これからもいろんな形で先の戦争について語られ
描かれることでしょう。
体験した方が少なくなりつつある今、
知らない世代が語り継ぐことの難しさも感じられます。
日本と他アジア諸国での認識の差も依然大きく、
どうしたらいいの?と正直、思うのです。

この記事へのコメント

  • マリー

    こんばんは・・・
    深い物語でしたね。
    キャスティングは申し分なかったですね。
    ケイトは、もう貫禄の演技。レイフも過去を引きずる男性を好演。ドイツ人俳優デヴィッドくん、うん~期待できますね。なかなか“いいオトコ”になりそうな予感(今はまだちょっと若いよね)

    ドイツなのに英語・・・こればかりは、どうしようもないのかな?私は分からなかったけど~ドイツ人のデヴィッドくんに合わせて、みんなドイツ訛りの英語を話させたって監督が言ってましたね~。そんなとこは芸が細かい!

    戦争の認識度・・・難しい問題ですね。
    私も常々思います。
    2009年06月27日 19:57
  • ひらで~

    マリーさん♪
    二人の物語の背景に見え隠れする
    悲しい歴史があまりにも重過ぎますね。
    個人ではどうにもならない悲劇です。

    デヴィッドくん、若いですよね~
    楽しみです♪

    ドイツ訛りの英語・・・実は冒頭、
    英語?ドイツ語?って分からなくて、
    あとでわざと喋っていたと分かって、
    一安心しました(笑)
    2009年06月29日 18:00

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