それとも奪うのか──
レンタルDVDで鑑賞♪

ヒトラーの贋札
DIE FALSCHER
THE COUNTERFEITER
2007年 ドイツ・オーストリア
監督・脚本: ステファン・ルツォヴィツキー
原作: アドルフ・ブルガー
『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』(朝日新聞社刊)
音楽: マリウス・ルーランド
出演: カール・マルコヴィクス (サロモン・ソロヴィッチ/サリー)
アウグスト・ディール (ブルガー)
デーヴィト・シュトリーゾフ (フリードリヒ・ヘルツォーク)
アウグスト・ツィルナー (クリンガー医師)
マルティン・ブラムバッハ(ホルスト親衛隊小隊長)
マリー・ボイマー (アグライア)
ドロレス・チャップリン (カジノの令嬢)
第二次世界大戦直後のモンテカルのカジノに一人の男が訪れた。
ドルの大金を持ったその男は・・・。
時は遡り、大戦の最中。逮捕されていたユダヤ人で世界的贋作師サリーはある日
ザクセンハウゼン強制収容所に送られる。彼のほかに印刷技師ブルガー、美校生のコーリャなど
ユダヤ系の技術者たちが密かに集められ、収容所にの一角に設けられた秘密工場で
贋ポンド札の製造を強いられる。“ベルンハルト作戦”と名づけられたその計画は
イギリスの経済を混乱させるためにナチス軍が考えたものだった・・・。
“2008年観たい映画”に新年早々候補に挙げたり、
2007年アカデミー賞では 外国語映画賞を受賞したりして
期待は大きかったのだけど、こちらでは上映なくて・・・
今頃ようやく鑑賞♪・・・何時もながら、レンタルで(^^;)
ことろで、外国語映画賞はオーストリア代表作品としてですが、
監督がオーストリア出身なんですね~
てっきりドイツだと思っていたの・・・だって、
ベンノくんの『アナトミー』の監督だったんだもの(笑)。
それにしても、ナチスの収容所って色んな実験してたのですね。
武器や細菌兵器などは知ってましたが、
贋札作りも本当にしてたなんて驚きです。
また、戦争をただ武力に頼ってないところも驚きました。
そして何よりも、一方的に悪いのはナチスと描きがちな収容所の話を
主人公の時に揺れ、時に屈強な姿を中心に描いているので
観ている側に彼等の苦しみが重くのしかかるばかりではなく、
楽しめるの映画として完成度も高いのが一番の驚きでした。
主人公はお札や身分証など精巧に作りあげる贋作師サリー。
ユダヤ人ゆえに収容所送りとなっていましたが
芸は身を助けるというのでしょうか、
持っていた特殊技術によって延命する事になるのですが、
それは同時に敵方に加担することになります。
自分の命だけですむのなら、加担することなく
死を選ぶ事もできたのですが、自分の命だけでなく
連帯責任として同胞の命もかかってくると、
加担する罪悪感と同胞を死なせたくない思いが交錯していきます。
そんな彼に絡んでくるのが印刷技術者ブルガー。
サリーとは対照的にナチスの計画に最初から抵抗する道を選びます。
サリーとブルガー、どちらが正しいとかの判断は観ている側に・・・
ラストも多くは語らず、観る側の受け取り方次第。
不謹慎にも面白かった・・・と素直に感じた作品でした。
不謹慎ついでにもう一つ、
ブルガー役のアウグスト・ディールは
ダニエル・ブリュールと『青い棘』に出演しておりましたが、
その時の印象は今ひとつでした・・・が、ブルガー役は好かったです。
となると、やっぱり『アナトミー2』を観るしかない!・・・か?(笑)
TBいただきましたが、文字化けしてしまいましたのこちらから・・・
くまんちゅうさんのWilderlandwandar
「ヒトラーの贋札 (Die Fälscher)」映画感想
この記事へのコメント
悠雅
わたしも、同じ理由でレンタルDVD鑑賞でしたが、
観る前の予想とは違った内容で、
これが実話ベースと知って、さらに驚きが倍増された感じでした。
「面白い」という言葉だけを聞くと、コメディ色が強いのかと誤解されそうですが、
そうではない意味の、面白い作品だったと思います。
言葉にするのが難しい作品に時々出会いますが、
そういう作品ほど、長く心に残り続けるものですよね。
いずれWOWOWでも放送があるだろうけれど、
待っていても見逃すこともあるし
DVDででも観ることができてよかったです。
ひらで~
こういう作品の面白さは
どう表現したらいいのか
いつも困ります。
語彙が少なくて情けない(^^;)
とにかく、言葉で表現できないので
観てもらうしかないですね。
なな
これはたしかにユニークな視点で描いたホロコーストもので
面白かったと思います!
シリアスさとエンタメのバランスが絶妙だったのでは
ないでしょうか。
私は物語の途中で,せっぱつまった表情のブルガーさんを
「どこかで観た覚えが・・・」と気になって
「あ,青い棘で自殺した人だ!」と思い至りました。
こういう,がけっぷちの役ってハマりますね,彼。
ひらで~
ただ深刻に描けば良いと
いうものでもありませんね。
いかに魅せるか・・・
その点は秀逸な作品でした。
>がけっぷちの役・・・
そうですね~
自虐的な役とでもいいますか・・・
ドイツ版ベタニーさんか?(笑)
くまんちゅう
ホロコーストの悲惨な部分が注目されますが、
こんな事もやってたんだな、と改めて知ることが出来ました
あの状態でも他の収容者から見れば天国なんですね
不安とプレッシャーと罪悪感の見せ方が秀逸でした
ひらで~
こんにちは。
>不安とプレッシャーと罪悪感の見せ方が
秀逸でした
正しく、そうですね。
あってはならないことだけど、
映画として、人間のドラマとして
成り立っているので
余計に引き込まれましたね。