
仮面の真実
THE RECKONING
2003年 イギリス (日本未公開)
監督: ポール・マクギガン
原作: バリー・アンズワース
脚色: マーク・ミルズ
音楽: エイドリアン・リー
マーク・マンシーナ
出演: ポール・ベタニー (ニコラス)
ウィレム・デフォー (マーティン)
ヴァンサン・カッセル (領主・ギース)
サイモン・マクバーニー(スティーブン)
トム・ハーディ (ストロー)
ブライアン・コックス (トビアス)
ジーナ・マッキー (サラ)
ユエン・ブレムナー (デミアン神父)
マシュー・マクファディン (国王裁判官)
14世紀のイングランド。修道僧ニコラスは人妻との姦通で追われる身に。
逃亡中、旅回りの芝居一座に加わる。橋が壊れており、已む無く迂回する一座。
馬車の車輪の修理に、ある村に立ち寄ると丁度、少年殺しの裁判が行われていた。
修理代を稼ごうと一座はその事件を基に芝居を上演するが・・・。
ベタニーさん、デフォーさん、ヴァンサンの名前だけで
観てみよう♪なんて軽い気持ちで観てみたら・・・
結構重いお話で。
でも、村の雰囲気とかセリフのやり取りの感じとか中世のイギリスを
堪能するにはなかなか好い映画で、
お話ももっと宗教係ったちょっと理解しがたいものかと思っていたら、
そうでもなく、現代にも通用するもので難しくなく、
役者を堪能するにもいいかと・・・やっぱりソコですか~!(笑)
以下ネタばれです!
変な趣味のある領主が教会を巻き込んで、
少年失踪&殺人事件を弱い村人のせいにしたのを
たまたま通りがかった芝居一座の芝居でからくりが
暴露してしまった・・・というのが本筋なのですが、
それを取り巻く人間の心の葛藤とか駆け引きみたいのが
面白かったし、中世の芝居の役割とか歴史的な背景なども
さりげなく描きこまれていて興味深く思いました。
セットも暗いけど重々しい感じが凄い!
初めは無実の人(聾唖の女性)を助けるつもりも、
真実を暴くつもりもなかったのに、芝居をとおして真実を知り、
知ってしまったからには何とかしたいと思うニコラス。
ごたごたに巻き込まれるのは避けたい芝居一座。
うすうす知ってはいたけど、生活を守るために黙認している村人。
もちろん知ってはいるけど、領主に保護されている手前黙認どころか
手を貸している神父。
隠密さながら、領主の悪事を内偵している国王裁判官(King's Justice)。
そして、やりたい放題の領主。
時代は代わっても、変わりのない人間たち・・・。
芝居を進めていく過程で矛盾が発見されていくくだり、
我関せずだった村人が、変わっていく姿など、奥が深い・・・
そして、ラスト。 悪事が暴かれた領主ギースの
最後のあがきともとれるニコラスとの直接対決(?)。
実はギースがニコラスを殺す意味がよくわからなかったのですが、
意味はニコラスの死にあったのかなぁ~と・・・。
ニコラスは姦通だけでなく、殺人も実は犯していて常に自責の念に駆られ、
いつかは罰せられないといけないと思っていたのでしょうね・・・
事件の解明は罪滅ぼしの意味があったのかもしれません。
ニコラスは友に抱かれ、純白の雪の中で・・・
対するギースのラストシーンは業火がバックでした。
原題の『THE RECKONING』の“reckoning”は“清算する”の意味で
“the day of reckoning”で“悪事の清算日”とか“最後の審判の日”と
なるそうなので、原題のニュアンスがそのままラストに結びつくのですね。
まぁ、出演者で選んで観てますので内容はどうでもいい・・・
なんてことはないのですが、逆に思わぬ内容に反応してしまう自分に
ビックリしてしまうことがあったりして、
これはこれで楽しめますね(笑)
それにしてもデフォーさん、ここではとってもまともな人間でビックリです。
2003年というと、彼は他に 『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード 』と
『 ファインディング・ニモ』(声)に出ていて、
その前は『スパイダーマン』ですから、この落差(?)を自分自身
楽しんだのでは?と想像してしまうくらい・・・おーきなお世話ですが(笑)
ベタニーさんは苦渋の修道僧をやらせたら世界一!なんじゃないかと・・・
そして、ヴァンサン・カッセル。
イギリス映画での彼は悲惨なものしかないの?と心配するくらい(笑)
でも、嫌な奴似合ってるからなぁ~これでいいのか・・・。
イギリス映画だと、無意識に他に“いい男”を捜してしまう・・・病気か?(^^;)
で、今回は隠密のような国王裁判官役のマシュー・マクファディンに注目♪
低い声が印象的で・・・
キーラ・ナイトレイ の『プライドと偏見』のMr.ダーシー だそうで・・・未見だ!!
観たものでは『エニグマ』に出演していたようですが、ウル覚え(^^;)
楽しい宿題ができました♪
旅役者の一人ストロー役のトム・ハーディも実は“いい男”なので、
もっと露出が多くても好かったのになぁ・・・。
この記事へのコメント
悠雅
ポール・ベタニー、ウィレム・デフォー、ヴァンサン・カッセル、ただ居るだけでも怪しげな3人の競演でしたね。
やや地味めだけれど、英国作品によく出演している俳優さんたちがずら~~り。
どんよりとして、冷え冷えする風景の中、この顔ぶれが描くお話は、予想とはちょっと違った展開でした。
マシュー・マクファディンは、『エニグマ』ではアイパッチをしていた人だったけれど、
そう言っても思い出せないかな…
『プライドと偏見』の彼は、個人的にはイメージが違ったのだけれど、
これでファンになった方も多いみたいですよ。
ひらで~
怪優がぞろぞろ(笑)で
それだけで楽しかったです。
ブライアン・コックスや
ユエン・ブレムナーは先日観た
『マッチポイント』にも出ていて、
ここでもミッケ状態でしたし♪
『エニグマ』は2年ほど前に
一度観たきりで・・・
忘れてますね(^^;)
話がよくわからなかったような。
『プライドと偏見』でファンに
なった方が多いということは
期待していいのかな?