『花よりもなほ』
2006年 松竹
監督・原案・脚本: 是枝裕和
衣裳: 黒澤和子
音楽: タブラトゥーラ
出演: 岡田准一 (青木宗左衛門)
宮沢りえ (おさえ) 田中祥平 (進之助)
古田新太 (貞四郎 ) 香川照之 (平野次郎左衛門 )
田畑智子 (おのぶ ) 平泉成 (善蔵 )
上島竜兵 (乙吉) 絵沢萠子 (お勝)
木村祐一 (孫三郎) 加瀬亮 (そで吉)
千原靖史 (留吉) 寺島進 (寺坂吉右衛門 )
原田芳雄 (小野寺十内) 中村嘉葎雄 (重八)
浅野忠信 (金沢十兵衛) 石堂夏央 (お絹)
國村隼 (伊勢勘) 夏川結衣 (おりょう)
遠藤憲一 (鈴田重八郎) 田中哲司 (横川勘平)
中村有志 (神崎与五郎) 石橋蓮司 (青木庄三郎)
勝地涼 (青木宗右衛門) 南方英二 (青木庄二郎)
トミーズ雅(与力)
時は元禄15年(1702)、徳川5代将軍綱吉の世。
生類憐れみの令が幅を利かせ、赤穂浪士の動きが
世間の関心事となっていた江戸のとある貧乏長屋。
父の仇・金沢十兵衛を討つために、信州松本から出てきたものの、
未だに討てずにいる青木宗左衛門(宗左)。
国からの生活費も当てにならず、寺子屋を開いて生活する日々。
いつしか向かいの未亡人に恋心を抱いてしまうが・・・。
『亡国のイージス』を観て以来、気になっていた勝地涼くんの
次回作として楽しみにしていました♪
ただ、予告編を観ても、HPを観ても名前がないので、実際に観るまで
出演に半信半疑(笑)観に行こうか迷ったくらいでしたが
先に観た方が、出てた♪というので観に行って来ました。
久々の時代劇・・・『座頭市』以来かな?このときは浅野さんの、
“センセイ”にやられまして(笑)時代劇の楽しさを再発見したものですが
(大昔、『必殺!』シリーズにハマっておりました)
映画館ではそれっきりだったような(^^;)
以下ネタバレありです・・・
見事にボロい貧乏長屋の冬の朝の様子から始まるこの映画、
舞台が長屋だけに登場人物が、多い!その上、みんな個性的!!
上記の出演者欄に役者さんの名前を書いてるだけで
嬉しくなってしまうくらい楽しい方々ばかりで、
一人一人語れちゃうほど(笑)
主役は岡田くん♪脇の個性に埋もれるかと思いましたが、
そんな気配は微塵も感じられないのは、流石です♪
どんな汚い(笑)格好でも、爽やか・・・目が好いですね。
武士とはいえ、剣術はどうも下手なようで・・・
敵も見つけているのに、どうしても名乗れずにいる・・・
世の中は戦もなくなって久しく、制度や身分などが
はっきりとしてくるばかりで、武士も名前だけになってきている・・・
同じ生きる為とはいえ、考えることは身の安全ではなくて
何のために生きるか?に変わってきている時代なんのでしょうね。
武士の本分も、変わってきてどうしたらいいのか?という思案の時代。
町人文化が花咲いた時代、武士は飾り物になりつつある・・・
そんな時に仇討ち・・・映画の背景に赤穂浪士の仇討ちがあります。
この赤穂浪士の、扱いが面白い!
原田さん扮する医者・小野寺の家に集まる
怪しい患者たち・・・実は赤穂の間者・・・狭い部屋に詰めていて、
遠藤憲一さん、田中哲司 さん、中村有志さんが並んだシーンの
窮屈な事と言ったら!黙っていても噴き出します(笑)
注目のエンケンさんも実は最初は
なかなかカッコよかったのですが・・・(^^;)
彼らは最初、岡田くんを吉良方の間者かと心配して、仲間の一人を
岡田くんに近づけるのですが、これが寺島さん扮する寺坂吉右衛門 、
彼が好かったですね~♪実は寺島さんは苦手なのですが今回は
泣かされた・・・最後の変わり身も天晴れでした。
話を戻して、仇討ち・・・江戸時代も終わりの頃には誰でもみたいな
ことになっていたようですが、当時は武士の特権で、
映画にもありましたが、届出をしなければならないとか、
自分の目上の者に対するものだけが対象になる(父や兄の仇討ちは
ありだけど、子に対する仇討ちはなし)などの
いろんな決まり事があったようです。
武士の岡田くんは仇討ちの為だけに江戸に来ているのです。
仇討ちといえば聞こえはいいですが、人を殺すのですから、
相当の覚悟が必要ですよね・・・憎しみだけを糧に生きるって
たとえば、自分がものすごく不幸で何も失う物(者)がない生活を
しているなら、それもありかな?って思うかもしれませんが、
岡田くんの場合はちゃんと家もあって、好きな人もいて、
貧乏だけどそこそこ楽しい生活をしていると、きっと重荷にしか
ならないだろうなぁ~と。
かといって、家の為にはやらなきゃならない・・・松本ですね♪家は。
元禄期は水野家ですか?松本藩主。べつに、出てきませんから
どうでもいいですが(笑)父の法要のために帰るシーンがありまして
ここに、一番の注目の勝地くん登場♪岡田くんの弟くん役でした。
多分、弟くんのほうが剣の腕は上なのでしょう、ちょっと生意気くん。
そこが、また勝地くんらしくて好いなぁ♪
この兄弟が並んで歩く姿はもう、爽やかなんてものじゃないですね!
“月代”(さかやき・つきしろ)も眩しく美しい!!
・・・って、そんなこと思うのは、ただのおバカ?(笑)
なんと言われようが、コレで、癒されましたわ♪うふふ♪♪
ちなみに、亡くなったお父さんのすぐ下の弟が南方さんで、
いつハリセン出すのかなぁ?って期待しませんでした?(笑)
話をまた仇討ちにもどして・・・仇討ちをしなければ帰れないのですね。
でも、したくない。
だから、岡田くんは仇討ちをあんな形にしたのですね。
欲を言えばもう少し、ここでハラハラドキドキ感が欲しかったなぁ。
八方うまく収まって、めでたしめでたしの後に、
大事件・討ち入り・・・映画の中での評価が面白いですね。
仇討ちは武士らしいけどやり方が・・・老人1人を47人で、
寝込みを襲う・・・見方が違うと、こうも評価が違うものかと(笑)
ただ、この仇討ちは個人対個人じゃないですから、
難しいところだと思います・・・。
そういえば、昨年NHKでも特集してましたね。
でも、この時代は討ち入り一つとっても面白い時代なので
こうした一介の町民たちのお話も、画になりなりますね。
江戸時代の中で一番面白い時代だと思います。
リサイクルが完璧な無駄のない時代でもあり、
金持ちも多くなって無駄遣いもするようになった時代でもある。
リサイクルは真似したいところですが、なんだか
今の時代にダブっているところもあるような気がします。
戦争が終わって物は豊かになったけど、
目指すものがあやふやになっているきている・・・そんなところ。
形をかえた“討ち入り”を楽しみにしてる感がありません?
ただ、いつの世も変わらないのが親子の関係。
岡田くん父子の関係、たくさん語られたわけではないけれど、
心に残る思い入れを感じるところでもあり、
泣けたところでもありました。
私も、母に何を伝えてもらったのか考えてみよう・・・
そして、娘たちに何を伝えたいのかも。
前回の時代劇『座頭市』で素敵だった、
浅野“センセイ”は今回は仇とはいえ、素敵なお父さんだけだったので、
ちょっと物足りなかったのですが・・・何を期待してたんだ?(笑)
エンケンさんと勝地くんを楽しめましたので満足です♪
さて、その勝地くんの次回作は
『幸福な食卓』(松竹)2007年新春ロードショー
原作:瀬尾まいこ 講談社刊
監督:小松隆志
主演:北乃きい、勝地涼、平岡祐太、さくら、石田ゆり子
等身大の勝地くんが観れそうで、今から楽しみです♪
この記事へのコメント
空
映画のほうは、ジーンとなったり、クスクス笑えたり、とても心あたたまる作品でしたね!
寺島さんには最後、驚きましたが・・・。
ひらで~
こちらでも、ありがとうございます!
空さんも勝地くん目当てですね♪
映画観るまで、心配でしたが(笑)
小汚い小僧役だったら
どうしようかと・・・美しくて好かった!
人間味があふれていて
嫌な気分にもなることのない
いいお話でしたね♪
maimai(映画DVDがそこにある)
「のほほん」としておもしろい時代劇だったのですが
何か足らないような気がしました。
ひらで~
こちらこそありがとうございます。
「のほほん」がすっきり自分に
はまるか、はまらないかで
評価が分かれる・・・
そんなとこでしょうかね。